川崎 江戸 神奈川 戸塚 千葉 深川 東京 銀座 日本橋 品川

川崎、神奈川、程ヶ谷と過ぎ、戸塚の宿へ入った頃には、日

「来て見れば左程でもなし富士の山。江戸で名高い山東庵京伝も思ったより薄っぺらな男ではあった」

に送ろうとする。果してそれでよいものだろうか？　今江戸に住む戯作者という戯作者、立派な学者の太田蜀山さえ、そういう傾向を

真夏が江戸へ訪れて来た。

川崎、神奈川、程ヶ谷と過ぎ、戸塚の宿へ入った頃には、日もとっぷり

川崎、神奈川、程ヶ谷と過ぎ、戸塚の宿へ入った頃には、日もとっぷりと暮れたので、笹屋と

「拙者は武術修行の者、千葉周作成政と申す。ご姓名お聞かせ下さるまいか」

新しい草双紙の腹案をあれかこれかと考えながら、雑踏の深川の大通りを一人馬琴は歩いていた。

その声に聞き覚えがあった。それに白昼の大晦日に、深川の通りを風呂桶を冠って横行闊歩する人間は、あの男以外には無い

これが馬琴の眼にうつった山東京伝の印象であった。

所だろう。……三十年五十年経った後には山東京伝という俺の名なんか口にする者さえなくなるだろう。……これこそ

七編の草双紙は初春早々山東京伝の署名の下に蔦屋から市場へ売出されたが、やはり破れるような

版元蔦屋重三郎がある日銀座の京伝の住居をさも忙しそうに訪れた。

は早起きをしたが、そのままフラリと家を出ると日本橋の方へ足を向けた。

来る。……今流れている橋の下の水は、品川の海へ注ぐのだが、その海の水は岸を洗い東海道をどこ

彼はフラフラと歩き出した。足は品川へ向かって行く。

と前後して歩いて行く。駕籠で飛ばせる人もあり、品川宿の辺りからは道中馬も立つと見えて、竹に雀はの馬子唄