木曽 白川 江戸 桔梗ヶ原 福島 京都

木曽の代官山村蘇門は世に謳われた学者であったが八十二才の高齢を

卯の花を雪と見て来よ木曽の旅

『花園少将通有卿、白川の地に館を立て、几張の局と住み給ひしが、不思議や前庭

翌日彼は江戸へ着いた、其時不思議な噂を聞いた。――

稚子法師の名声は江戸に迄も聞えていた。

其稚子法師の本人が此度江戸へ来たというので其評判は著聞しかった。併し阿信は其評判を

斯ういう事があってから稚子法師阿信の評判は益々江戸に高くなり、訪ねて来る人や招き度い人が、日に日に多く

これは阿信の稚子法師であった。そうして此処は桔梗ヶ原であった。原に住んでいる鳥や獣は、彼の慈愛に慣れ親しんで

「殿のお命に別状無い中どうぞ福島へ行きつきたいものだ」

程近い福島の城下からは武士時代の朋輩も訪ねて来るし、近所の農家からは

た。彼は日夜考えてばかりいた。近所の農夫や福島の朋輩や死んだお信乃の親里などでは、彼の境遇に同情し

了った。斯うして幾年か経過した、その時京都白川の里で尊い聖僧が衆人の前で生ながら土中に埋もれて入定