京都 東京 銀座

去年、京都の伏見稲荷前の安食堂の二階に陣どつて「吹雪物語」を

そのころ京都には二人の友人があつた。一人は某大学の先生山本君。一人

少女の巣窟である。そこで二人のもぐりの騎士は、京都くんだりの不良少女からひどく慇懃なもてなしを受けて、有卦に入つてゐるの

三宅君世の無常を歎じて、京都の不良少女は二流でさあ。人間の心意気といふものが分らねえ、なぞ

話があるのださうである。一流人の大精神は京都くんだりの不良少女づれに分らう筈のものではない。ますらをは花と

無常を感じること限りもなく、坊主にならうか、いつそ京都の警察へ志願して奴等のどぎもを抜いてくれようかと煩悶しながら

で友達にめつたに会はぬが、友達がたつた二人の京都では屡々新京極でかちあつたのだから、だらしないほど小さな街だ。さて

この時以来京都の街が狭くなつて大いに弱つた。人口百万もあるくせに、盛り場が

だが）によると、日本一の豆腐ださうだが、東京のさる高名の料理屋が、この豆腐の製法をつぶさに模して作つたところ、

くれようかと煩悶しながら、慌ただしく小説を仕上げて、一目散に東京指して逃げのびてきた次第であつた。

新京極まで行かなければ活動写真も見られない町である。東京には友達が何万人――はちと桁が違つたが、ゐる小生、

何万人――はちと桁が違つたが、ゐる小生、銀座で友達にめつたに会はぬが、友達がたつた二人の京都では屡々