富士見町 赤坂 本能寺 お茶の水 水道橋 神田 赤坂見附 上野 日本橋 東京 小川町 浅草 京橋

置き、お跡を追※てみましたら。やはり例の富士見町、恠しい家でござりまする。何でも近処の噂では、婢も二人

遁したは、恠しい了簡、それ聞かふ。おおかたこの間赤坂の、お帰り道が、かうかうと、忠義顔して、いやつたも、何

を。いつもは容易に許さぬ鹿子も。今日の敵は本能寺、園さへ擒にしたならばと。良人の方には眼も掛けず

、こんな所で、死ぬ奴があるものか』『でもお茶の水の一件から、何だかこの辺は不気味でね』『さうさ、

も。今は霜夜の月冴えて、河音寒き初更過ぎ。水道橋の欄干に、身を寄せ掛けたる一人の婦人。冷やかなる、月の光を

昼はさしもの人通り、本郷神田小石川、三区の塵に埋まる橋も。今は霜夜の月冴えて、

知らぬかの、町の賑ひ、電燈の、ほめきは神田ばかりかは。日本橋さへ、京橋さへ、そこと見えるに、片町は、なぜ

。何はいづこと、方角が分らぬながら行き行けば、赤坂見附、おおここか。つまらぬ処で夜を更かした。車夫頼むと。寒

、せめて湯島の丘ならば、ここから名残惜しめうもの。上野の森に、用のない、松は見えても、お邸の、お

町の賑ひ、電燈の、ほめきは神田ばかりかは。日本橋さへ、京橋さへ、そこと見えるに、片町は、なぜに見えぬぞ。

私も大安心。在処の母が参つても、これが東京での流行の品と、たんと自慢が出来ますると。いふに、おほほほほと

変はりませうも知れませぬゆゑ。ちと廻りでも、小川町の方へ出まして、賑やかな方から参りませう』と。先に

な事ならば、どこからなりとも帰りませう。無理に浅草までとは申しませぬ。さあさあちやつとお拵らえ』と。この細君が

もしお園様え、今日は浅草の年の市、まだ暮れたばかりでござんすほどに。私どももこれから下女

、電燈の、ほめきは神田ばかりかは。日本橋さへ、京橋さへ、そこと見えるに、片町は、なぜに見えぬぞ。お邸が