山を想ふ / 水上滝太郎
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長野の町は吾々の氣に入らなかつた。善光寺の御堂も淺草の觀音樣程なつかしくなかつた。御燈明をあげ、お階段
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し、翌朝下山したら直ぐに汽車に乘つて、途中妙義山に登らうと日程を定めた。縁側に出て見ると、淺間は鼻の先
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次の日の朝、丘の向うの聖護院といふ禪寺から、
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をほこり、土踏まずの無い足で富士の嶺を踏つけ、日本アルプスを蹴飛ばすのか。
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よりも山の姿に心が向くやうになつた。むかし富士山に登つた時、砂走で轉んで擦むいた膝子の傷痕を撫でながら、日本
つた。もくもくと湧く白雲の海の向うに、はつきりと富士山が見えた。岩のかげから、拍手が起つた。吾々より後から小屋に
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撫子萩桔梗紫苑女郎花を吹く風の色が白かつた。草津へ通ふ馬の背の客の上半身が草の穗の上にあらはれて
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事である。當時の相棒と東京を立つ時は、先づ長野に行き、それから輕井澤に引返して淺間へ登らうといふ計畫だつた。
長野の町は吾々の氣に入らなかつた。善光寺の御堂も淺草の觀
つい此の間、長野の町の女學校の生徒が、姙娠のからだを此處に捨てた。
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二十二三年前の事である。當時の相棒と東京を立つ時は、先づ長野に行き、それから輕井澤に引返して淺間へ
はまづ大きいものでごわすわ。わしや知んねえが廣い東京にもあれ丈のものはごわすまい。春はまづ櫻の名所でごわすわ
翌年、恰度同じ頃に、私は一人で東京を立つた。前の年の相棒も同行の約束だつたが、俄に都合が
「東京のお客さんが見えてゐるならお遊びにお出でなすつて。」
がかゝつてゐた。あの澄んだ色を見ろ、東京の月とは違ふからと友達が云つた。頂上迄もう一里ある
東京に歸つてから、當時イ※ン・ツルゲネフの小説を耽讀してゐた
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小諸なる古城のほとり
三宅克己丸山晩霞などといふ人が教鞭を執つたといふ小諸義塾も見た。友達も其處で學んだのであつた。
友達の家は小諸から小一里あつた。土地の舊家で、ひつそりと廣い家だつ
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つた。折柄の名月で、爽かな音を立てゝ流れる千曲川は銀色に光つてゐた。長い橋を渡る時欄干に腰かけてゐる