上高地 下落合 長岡 秋田 神戸 京都 新潟 東京 銀座

つれて、矢田津世子が一緒に行かうと云つた山々、上高地や奥白根の温泉宿へ行つてみればよかつたと思つた。なぜで

そのころ雑誌の同人六七人集つて下落合の誰かの家で徹夜して、当時私たちは酒を飲まなかつたから

て、いくらか酔つてゐたのだが、それから長岡だかその隣りの温泉だかへ泊つたときであつたと思ふ。女は

通訳なしには、私には殆ど分らなかつた。ひどい秋田弁なのだから。

倫はさのみこの人を好んでゐるやうでもなく、神戸の何とかいふ、実にまづい顔の、ガサツ千万な娘になんと

母を持つアイノコで、端麗な美貌であるから、京都も神戸も女友達ばかり、黒田孝子といふ女流画家の可愛い女に惚れられてをり、

私を京都の飲み屋へ案内してくれて、一週間ほど神戸へも一緒に旅行した。加藤英倫も京大生で、スエデン人の

これは蛇足だが、この神戸の旅行で、私はヘルマンの廃屋とかいふ深山の中腹の五階建

人の母を持つアイノコで、端麗な美貌であるから、京都も神戸も女友達ばかり、黒田孝子といふ女流画家の可愛い女に惚れられて

加藤英倫と友達になつた。彼は毎晩、私を京都の飲み屋へ案内してくれて、一週間ほど神戸へも一緒に旅行し

その年の春、私は一ヶ月あまり京都へ旅行した。河上の紹介で、そのころまだ京大の学生だつた大岡

いふ家が矢田家と親戚であり、Ｓ家と私の新潟の生家は同じ町内で、親たちも親しく往来してをり、私も子供

が、私達が突然親しくなるには家庭の事情もあり、新潟鉄工所の社長であつたＳといふ家が矢田家と親戚であり、Ｓ

た。私は東京へ帰つてきた。加藤英倫も東京へ来た。たぶん彼の夏休みではなかつたのか。私には、

矢田津世子は加藤英倫の友達であつた。私は東京へ帰つてきた。加藤英倫も東京へ来た。たぶん彼の夏休み

「ねえ、まだ、東京へ帰るのは厭だな。もう一週間ばかり、つきあはない。私

にふられて戻つてきたか、と言つた。銀座でしたゝかよつぱらつて吉原へきて時間があるのでバーで