大阪 九州 神戸 京都 東京

山手の或料理屋につれて行かれた。姉夫婦は今夜大阪まで、梶原氏は京都まで同行しようと云つてくれた。

汽車が大阪に着くと姉夫婦は其處で下りて、自分は梶原氏と二人で殘つた

に迫つて來た。昨夜受取つた無線電信によると、九州から遙々姉が出迎ひに來てくれる筈である。東京では父も母

船はもう神戸に近く、陸上の人家も人も近々と目に迫つて來た。昨夜

豫て神戸横濱の埠頭には此種の人々がゐて、所謂新歸朝者を惱ま

食事でもしたらよからうといふ人々の意見に任せて、神戸の町の山手の或料理屋につれて行かれた。姉夫婦は今夜大阪

て行かれた。姉夫婦は今夜大阪まで、梶原氏は京都まで同行しようと云つてくれた。

て、自分は梶原氏と二人で殘つた。さうして京都迄の小一時間に所謂水上瀧太郎廢嫡問題なるものの由來を同氏によつ

京都で梶原氏に別れると直ぐに手帖を取出して、先づ大阪毎日新聞に宛て

九州から遙々姉が出迎ひに來てくれる筈である。東京では父も母も弟も妹も、九十に近い祖母も待暮して

此の無責任極まる記事は始め東京朝日新聞に出たのださうだ。憎む可き朝日新聞記者の一人は、我家を

翌朝、愈々東京へ近づいて行く事を痛切に思はせる舊知の景色が、窓近く日光

合はせる顏が無いやうに思はれた。自分が東京に着く前に既に關西電話で傳へられた、毎日朝日と同じやうな記事

東京に着いて、母や弟妹や、親類友だちに久々で逢ふ時、自分は

驚く可き事は、初め憎むべき東京朝日新聞の記者の捏造した一記事が、それからそれと傳へられて、

事實を思ふと、流石に寒い心に堪へ難くなる。一度東京朝日新聞の奸譎邪惡憎む可き記者の爲に誤り傳へられてから、自分の