椿子物語 / 高浜虚子
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、只今伊吹山麓を通過。五月二十五日朝、米原駅、京極杞陽」
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一時は九州に緒方句狂君があり、それに対して山陰に安積素顔君が擡頭し
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君の存生中に泊雲君に導かれて一度わざ/\大阪に出て来て、毎日新聞社の俳句会の時に、私と手を握
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去年の暮であつた。丹波の和田山の古屋敷香葎君がやつて来た。さうしてたまたま東京に来
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私は鎌倉の俳小屋の椅子に腰をかけて庭を眺めてゐた。
落ち重なりました。それから草取りをしてゐる間にも、鎌倉のお書斎の先生、お書斎に侍んべつてゐる椿子さんのことを思つて
は、其の用事を果した後、一日暇を見て鎌倉の草庵を訪れた。話が椿子のことにも及んだ。
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、といふ事を言つて来た。その頃叡子さんは京都に出て、同志社に学んでゐた。素顔君は殆ど座右を離さな
喪に籠つて静に母の許にあつた後、又京都に出て同志社に学びを続けてゐた。
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には俳句に関する反古が又山と積み重ねてある。私は小諸でも自分の書斎にしてゐる処を俳小屋と呼んでゐたが
物を置いたまゝになつてゐた。三年越しに小諸から帰つて来た時に、そこを片附けて机を置いて仮りの書斎
書斎の名前である。もとは子供の部屋であつて、小諸に疎開して居る時分は物置になつてゐて、ろくに掃除もせず
訪問した礼だといつて、私の疎開先である小諸に来た。其時は香葎君が叡子さんに代つて素顔君に
ひたすらに小諸近しと汽車涼し 素顔
小諸に来た時分に、素顔君は、
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の古屋敷香葎君がやつて来た。さうしてたまたま東京に来て居つたといふ安積叡子さんを同伴して来た。
て家庭にあつたのであるが今度親戚をたづねて一寸東京に出て来た。丁度香葎君も出京して、二人連れ立つて私