故郷を辞す / 室生犀星

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地名一覧

加賀

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が目のあたりに錯落として音ある如く感じた。今日の加賀一面の九谷といふものの堕落して天下に悪名をながしてゐるのも、

成巽閣

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兼六公園内の成巽閣の庭をこの間見たが、後藤雄次郎作の仏を刻んだ六角の石

卯辰山

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その日から一週間ほどあとに、卯辰山といふ山麓にある古い料理屋の、いまは廃業してゐる庭を見に行つ

伊賀

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佗びてもどこかに美しい栄えがあつた。備前や伊賀やしがらきではない。また、しのやはぎのやうな一色の寂しさでは

東京

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あいてしまつたが、さて此の田舎を後にして東京へ行つても、又田舎を慕ふやうになるだらうと先き先きの

屋根石や日かげが透いて見えたりした。写真はたいがい東京で一度見たものばかりだつたが、その写真を半分以上も見てゐ

見えて来て、色紙に鋏して造られたやうな東京の町なみの姿が、程よい柔らかい冬の日の表にてらされてゐるの

気もちであつた。こちらが降れば東京が晴れてゐる。東京がふればこちらが晴れる。さういふ裏表の気候さへ目に見えて来て

にも、一寸耐らない気もちであつた。こちらが降れば東京が晴れてゐる。東京がふればこちらが晴れる。さういふ裏表の気候さへ

てあつた。山はすつかり白くなつてゐる。――やはり東京へかへることにしやう、とさう昨夜も物うげに音を立てる雨戸

もあつた。東京へかへる人を見送つて行つても東京へかへりたく思はなくなつたのが、このごろになつて窓をあけて荒涼

ねと、さもわたしを気の毒がつて言ふ人もあつた。東京へかへる人を見送つて行つても東京へかへりたく思はなくなつたの

殆ど残つてゐるものはわたしが最後の一人であらう。東京の子供が土地の小学校へ出るときまつてものができるさうだつた。そして

都に隔れてゐたやうな思ひをさせ、そして今更東京に自分の住むところがあらうとなどと思はれた。

でゐる市街を十五倍にしたものが東京だつた。東京の一区がわたしの町の人戸であつた。そんなつまらないことを

。自分の住んでゐる市街を十五倍にしたものが東京だつた。東京の一区がわたしの町の人戸であつた。そんな