根津 鹿児島 東京

「根津へ電車が通るやうになるのね。わたし田舎へ行つてゐる間に出来るか知ら

詩の一章であります。彼女の気にかかつた根津の通りにもう電車が通るやうになりさう。彼女が送つてやると言つた

の母親はその主人を迎へに此の子をつれて遠い鹿児島へかへるのであります。この子に去られてしまつてから私の

「鹿児島はちつとも雪が降らないわ。温かく大きなボンタンが実つてよ。きいろくて

ボンタン遠い鹿児島で死にやつた

つてやると言つた蜜柑だの大きなザボンだのは、遠い鹿児島の父君から私の宿に送られて来ました。まことに彼女を

「こんどふぢ子さんが東京へかへるころには出来ますよ。さうすりや何処へでもすぐ行けるから

この子の頭からだんだん東京が離れて行く。それを私は当然のやうに思ひながら淋しい堪へがたい心