勝負師 / 坂口安吾

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地名一覧

名古屋

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ことであるが、木村升田三番勝負の第一局が名古屋で行はれ、私は観戦記を書くために東京から木村と同道で出向いた

升田は木村の一日前に名古屋へ来てゐた。その心構へに当てつけたワケではなかつたらう。彼

升田は二日前に名古屋へ来てゐたが、酒をのみつゞけて、節制がなかつた。彼は

、よく現れてゐる笑顔である。私は彼と一しよに名古屋へ旅をしたが、汽車の中では、彼はこんな風に平静で

て、勝たせたことがあつたのである。例の名古屋に於ける木村升田三番勝負である。木村の疲れが痛々しいので、夕食後

「この前、名古屋でのんだ薬、のみますか」

湯河原

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勝一敗で、四回戦が翌々日の五月十一日に湯河原で行はれることになつてゐる。木村が挑戦者に勝ち残つて、名人戦が

地でもないところで酒をのんでゐるのである。湯河原までバスもいれて三時間ぐらゐのものかも知れないが、勝負師の心構えと

の用意が見られるのである。対局二日前に、湯河原ならぬモミヂの二階で酔つてゐた塚田と比べて、これらの

大阪

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明日の対局に今夜つくはおろかなこと、夜行でその朝大阪へついて対局し、すぐ又所用で東へ走り西へ廻るといふ忙しさ

大手門

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済寧館で行はれるといふ思ひもよらぬことゝなり、大手門を通過する為の胸につける造花などが届けられて、私は慌てた。

に乗つたが、滑りだして一分間ぐらゐ、ハイ、大手門です、と降された時にはテレました。門衛が五六名ゐて、

皇居内と云つても大手門をくゞつて、とッつきに在るのが済寧館で、誰でも行けるパレス

東京

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第七局が東京で行はれた時も、私は見た。そのとき、豊島・火野両氏

局が名古屋で行はれ、私は観戦記を書くために東京から木村と同道で出向いた。そのとき、木村が升田に向つて、塚田

たタマモノであつたかも知れない。これに比べると、東京方の原田八段は、棋理明※であるが、温室育ちの感多分で

京橋

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大山は肩をならべて、まだ人通りのすくない濠端から東京駅、京橋へ歩いた。私たちは毎日新聞の寮へ行つて、酒をのんだ。