童子 / 室生犀星
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私は十年ほどかかって書いた詩を書物にし、本郷の本屋へたのんで売ってもらっていた。
「本郷の写野さんに診てもらって下さい。どうも気になりますから。」
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おとなりの早瀬さんでも、気候が不順だからと、鎌倉と房州とへ子供をつれ転地をした。どちらにも弱い子があった
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の来るのを待った。口入屋が千葉のもので、その千葉から口入屋のおやじと乳母とその母親とが、今日明日のうちに上京し
してくれる筈の乳母の来るのを待った。口入屋が千葉のもので、その千葉から口入屋のおやじと乳母とその母親とが、今日
「乳のことは千葉の医者でも診てもらってきたんですが、大丈夫だそうです。
「そして千葉にいたの。」
翌朝になっても乳母はこないばかりか、千葉の方へ問合せても返辞すらなかった。為方なく毎日貰い乳をした
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へやってきて、乳母が着物やその他の用事で浅草の宿までやって呉れと言って、さっき持って来た風呂敷を持ち、
――乳母は、夏を通じて、昨夜の約束通りちょいと浅草まで遣って呉れと、しきりにせがんで利かなかった。
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式を済すと、田端と神明町さかいの、或る百姓家の離れに住み、私は毎日抒情風な詩
動坂へ礼に行かせ、田端の下台へ毎日三度ずつ行くことにしたが、平林も夏もその
牛乳よりよいかも知れないと言ってくれたので、田端のガードのそばにある山羊舎へ平林が毎日とりに行くことになった
妻は、看護婦にそう話した。樋口さんとは私が田端へきて八年にもなる知合いであった。
たが、赤児は電車の音や騒々しい人込みに怖れた。田端の静かな家のまわりだけしか知らなかった赤児は、眼を円め、びくびく
で、涙ぐむようなことがなかった。――墓地は、田端の大龍寺にした。子規の墓があり静かだったし、近くて
だときは、全く気がフレてしまって、とうとうこの間田端の脳病院に入ったんですって。何という話でしょう。」
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た。そういう隣近所のことを聞いただけでも、東京に居残っていると病気になりそうで心寂しかった。
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ばかりすると帰った。その日、はじめて電車に乗せ、晩方上野まで行ったが、赤児は電車の音や騒々しい人込みに怖れた。田端の
その手当をしたが、「どうも弱い子ですね。上野まで出て、コレだから大変だ。」と云った。赤児というもの