荻吹く歌 / 室生犀星
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淀の川尻で舟に乗った生絹は、右に生駒の山、男山を見、左に天王山をのぞんだ。男山の麓、橋本の
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天王山をのぞんだ。男山の麓、橋本のあたりで舟は桂川に入って行った。前の方に逢坂、比叡、左に愛宕や鞍馬を
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入って行った。前の方に逢坂、比叡、左に愛宕や鞍馬をのぞんだ生絹は、何年か前にいた京の美しい景色を
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舟は桂川に入って行った。前の方に逢坂、比叡、左に愛宕や鞍馬をのぞんだ生絹は、何年か前にいた京
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あたりで舟は桂川に入って行った。前の方に逢坂、比叡、左に愛宕や鞍馬をのぞんだ生絹は、何年か前にい
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眼に見えるようでございます。それに引きかえ、この津の国の難波のさぶしさはしのんでも、きょうあすの粟をさがすのにもほとほと永い
ん。女の美しさをすりへらして来るものは此処津の国の難波の土とほこりでございますもの。
て行ったら、生絹は泥くさい田舎女になり果て和歌の才能すら難波の蓬生のあいだに埋れてしまわねばならない。右馬の頭は生絹の詠ずる
いるではないか、生絹は柱につかまりもう行くまい、難波の土にうもれようと身をもがいてなみだぐんだ。
、何か気負うた生絹の眉や眼の奥にも、難波の土の匂いはとうに失せていた。
庭では、もう、梅が枝をはじいて咲いていた。難波ではまだ蕾も固かったのに、みやこの日の暖かさを思わずにい
といい、たずねる術もなかった。笛吹く人は家臣を難波に送ってたずねさせたが、これも空しくもどって来ていった。「さう
「秋の難波はいかがでござりました。お一人にてお帰りなされた御様子のように
心のほどは誰人も銘じて忘れることはござりますまい。難波のことは難波のこと、お身様は永くお仕合わせあるように。」
誰人も銘じて忘れることはござりますまい。難波のことは難波のこと、お身様は永くお仕合わせあるように。」