新潟 荻窪 浅草 新宿 東京 大宮 赤羽

特輯号を買い、嘉七は、ウイスキイの小瓶を買った。新潟行、十時半の汽車に乗りこんだ。

真昼の荻窪の駅には、ひそひそ人が出はいりしていた。嘉七は、駅の

外国煙草を買って、外へ出た。自動車に乗り、浅草へ行った。活動館へはいって、そこでは荒城の月という映画

「かまわないさ。ふたりで浅草へ活動見にいってその帰りに主人がよっぱらって、水上のおばさんとこ

新宿までの切符を買った。新宿で降りて、それから薬屋に走った。そこで催眠剤の大箱を一

新宿までの切符を買った。新宿で降りて、それから薬屋に走った。

を呑んだ。嘉七は牡蠣のフライをたのんだ。これが東京での最後のたべものになるのだ、と自分に言い聞かせてみて、流石

「寒いのね。こんなに寒いと思わなかったわ。東京では、もうセル着て歩いているひとだってあるのよ。」運転手

に気がついていないみたいに、はしゃいでいた。東京はセル、をまた言った。

とか、なんとか下手な嘘を言って、嘉七が東京にさきにかえって着換えの着物とお金を持ってまた迎えに来るまで、宿

まだ拾円ちかくのこっていた。嘉七は、ふたり一緒に東京へかえることを主張したが、かず枝は、着物もひどく汚れている

乗せて谷川にやってから、嘉七は、ひとりで汽車で東京に帰った。

汽車は赤羽をすぎ、大宮をすぎ、暗闇の中をどんどん走っていた。ウイスキイの酔もあり、

汽車は赤羽をすぎ、大宮をすぎ、暗闇の中をどんどん走っていた。ウイスキイの