京都 東京 銀座

事になっているんだ。何でも、祖先は、京都の人で」と言いかけて、さすがに、てれくさそうに、ふふんと笑い

をしているのだけれども、それ以前の十五年間の東京生活に於いては、最下等の居酒屋に出入りして最下等の酒を

文学者の部屋というのは、みんなこんなものだ。俺も東京にいた頃、いろんな文学者と附き合いがあったからな」

永い間、東京に住み、いろんな客を迎えたけれども、私に対してこんな事を言っ

「へえ？　おかど違いでしょう。俺は東京でサントリイを二本あけた事だってあるのだ。このウイスキイは、そう

彼は「俺の東京時代は」という事を、さいしょから、しきりに言っていたが、

たものだ。考えてみると、あの頃は無論お前も東京にいて、芸者を泣かせたりなんかして遊んでいた筈だが

も駄目だ、気持だよ、心だよ。じっさい俺も東京時代は、あばれたものだ。考えてみると、あの頃は無論お前も

言って、にやりと笑い、「俺だって、実は、東京時代に、あぶないところまでいった事があるんだ。もう少しで、お前

「お前も、しかし、東京では女でしくじったが」と大声で言って、にやりと笑い、「

を飲み、管を巻いていたのである。私は東京に於いて、彼の所謂「女で大しくじり」をして、それも

、私には、どの頃かわからない。それに私は東京に於いて、彼の推量の如くそんな、芸者を泣かせたりして遊ん

男に依って、はじめて嘗めさせられたものではなく、東京の文壇の批評家というもの、その他いろいろさまざま、または、友人という

、俺はいくらでも背負わさせてやるんだが、やっぱり東京の役所の課長ともなれば、米を背負いに来るわけにもいかん

も、いまではこの俺に頭があがらん。なにせ、東京は食糧が無いんで、兄は大学を出て課長をしているが

は、あなたを可愛がるか？　俺は、これでも東京で暮した事のある男でね」

帰るのだろう？　遊びに行くよ。お前の家は、東京のどこにあるのだ」

、カチカチとやってやろうと思うんだ。お前ももうすぐ東京へ帰るのだろう？　遊びに行くよ。お前の家は、東京のどこ

は、カチカチとやりさえすれば火が出る。こんど俺は東京へ行く時、これを持参して銀座のまんなかで、カチカチとやってやろう

せなさい。思いきりぶん殴ってやりますから。どうです、奥さん、東京にいた時も、こっちへ来てからも、修治に対して俺ほど

、いけない。殴ってやろうか。奥さん、俺はね、東京時代にね、ずいぶん喧嘩が強かったですよ。柔道もね、ちょっと、やり

になって笑った。あっぱれ、というより他は無い。東京にもどこにも、これほどの男はいなかった。

出る。こんど俺は東京へ行く時、これを持参して銀座のまんなかで、カチカチとやってやろうと思うんだ。お前ももうすぐ東京