広島 東京 新宿

だったので、対米英戦のはじまる前に、早くも広島辺のおいしいもののたくさんある土地へ娘と一緒に疎開し、疎開した

母は広島の空襲で死んだというのである。死ぬる間際のうわごとの中に

の眼には、何の事も無い相変らずの「東京生活」のごとくに映った。

ような事になるのではあるまいか、と思って東京に舞い戻って来たのに、私の眼には、何の事も無い

東京は、哀しい活気を呈していた、とさいしょの書き出しの一行に書きしるすと

で暮し、ことしの十一月の中旬に妻子を引き連れてまた東京に移住して来たのであるが、来て見ると、ほとんどまるで二三

「久し振りの東京は、よくも無いし、悪くも無いし、この都会の性格は何も

無く、久留米絣の着流しに二重まわしをひっかけて、ぼんやり東京の街々を歩き廻っていた。

往来し、もう既にまったく師走の巷の気分であった。東京の生活は、やっぱり少しも変っていない。

そこから出たのは、もう午後の六時頃で、東京の街には夕霧が烟のように白く充満して、その霧の中

十二月のはじめ、私は東京郊外の或る映画館、（というよりは、活動小屋と言ったほうがぴったり

私たちは、師走ちかい東京の街に出た。

やっぱり東京だ。こんな事もある。

娘はひとり東京へ帰り、母方の親戚の進歩党代議士、そのひとの法律事務所に勤めて

東京は相変らず。以前と少しも変らない。

新宿の、あれ、……あれは困る、しかし、あれかな？