アルプス 富士山 東京 銀座

「僕だけでは、ございません。自己の中に、アルプスの嶮にまさる難所があって、それを征服するのに懸命です。僕たち

をじっと見つめて居ると、きっとラムネが飲みたくなります。富士山を見て居ると、きっと羊羹をたべたくなります。心にもない、こんな

東京の郊外に男爵と呼ばれる男がいた。としのころ三十二、三と

田舎のわずかばかりの田畑に恋着して、どうしても東京に出て来ない。ひとり弟がいるのだが、こいつが、父母の

と思う。田舎の老父母は、はじめからとみをあきらめ、東京のとみのところに来るように、いくら言ってやっても、田舎のわずか

、そんな貧乏画家か、ペンキ屋みたいな恰好して、今夜も銀座でお茶を飲んだのであるが、もし、この服装のままで故郷