本郷 北海道 長野 代々木 巣鴨 東京 日本橋 品川

温かい襟巻に包まれながら、姉に抱かれながら、この、本郷の通りを俥に乗つて走つてゐたことがある。小さい弟を抱き

の家から、父や母や兄弟たちからもぎ放されて、北海道の釧路で牧場を経営してゐる子供のない叔父の家にやられてゐ

年も前のことである。転任した義兄と一緒に長野へ行つてゐた姉のところへ、私は、釧路で送つた頃の

ゐた。熱海に避寒してゐる心臓の悪い父や、代々木に嫁いでゐる気の弱い妹などが電報を受取つて、驚くさまなど

泣いたやうにギラギラ光つてゐた。時折は、本郷巣鴨行や本郷白山行の電車が、勢よく響を立てて赤門の方へ

私を泣かせた。中学校に這入るために私が、再び東京の家へ戻つて来た頃に、姉は木村の義兄と結婚した

てゐた。十から十三になるまでの間を私は東京の家から、父や母や兄弟たちからもぎ放されて、北海道の釧路で

待つてゐた。暫く待つてゐたが、品川行も日本橋行もなかなかやつて来なかつた。私は苛々して来て、決心

私は広小路の四辻に立つて、品川行か日本橋行の電車が来るのを待つてゐた。暫く待つてゐたが、

来るのを待つてゐた。暫く待つてゐたが、品川行も日本橋行もなかなかやつて来なかつた。私は苛々して来

私は広小路の四辻に立つて、品川行か日本橋行の電車が来るのを待つてゐた。暫く待つてゐ