名古屋 浜松 大津 日本橋

いう電報を受取った私は、身仕度もそこそこに、郷里名古屋に帰るべく、東京駅にかけつけて、午後八時四十分発姫路行第二十九号

「母が危篤だという電報を受取ったので、名古屋まで帰るところです」

、雨はやんで夜は白々と明けかけていた。名古屋でその人に別れて、家に駈けつけると、母は脳溢血で重態に陥って

はいつの間にかうとうととしていた。列車が浜松を過ぎたころであったと思う。車内がにわかに騒々しくなったのに眼

よ。私はいま家内の遺骨を携えて家内の郷里の大津まで行くところです」

私は日本橋に株式仲買店を持つ辻というもので御座います。御承知のとおり、株屋