番町 四谷坂町 本所 赤坂 江戸 四谷 徳島 深川 麹町 日本橋 銀座 市ヶ谷 上野 千住 品川 東京

麹町、番町の火事は、私たち鄰家二三軒が、皆跣足で逃出して、此の片側の

が僅ばかり、斜にふれて、下、中、上の番町を、南はづれに、東へ……五番町の方へ燃進む事であつ

をついて言つた、八千代さんが來たのである、四谷坂町の小山内さん（阪地滯在中）の留守見舞に、澁谷から出て來なすつた

が、銀座、日本橋をはじめ、深川、本所、淺草などの、一時に八ヶ所、九ヶ所、十幾ヶ所から火の手の上

執筆の都合上、赤坂の某旅館に滯在した、家は一堪りもなく潰れた。――不思議

――江戸のなごりも、東京も、その大抵は焦土と成んぬ。茫々たる燒野原に

言つて、吉井勇さんが一所に見えた。これは、四谷に居て無事だつた。が、家の裏の竹藪に蚊帳を釣つて

ない。家内が才覺して、此の避難場に近い、四谷の髮結さんの許をたよつて、人を分け、荷を避けつゝ辿つて

前日みそか、阿波の徳島から出京した、濱野英二さんが駈けつけた。英語の教鞭を取る、神田三崎町

が、銀座、日本橋をはじめ、深川、本所、淺草などの、一時に八ヶ所、九ヶ所、十幾ヶ所から

麹町、番町の火事は、私たち鄰家二三軒が、皆跣足で逃出して、

一筋は前のまゝ五番町へ向ひ、一筋は、別に麹町の大通を包んで、此の火の手が襲ひ近いたからである。

二日――此の日正午のころ、麹町の火は一度消えた。立派に消口を取つたのを見屆けた

が、銀座、日本橋をはじめ、深川、本所、淺草などの、一時に八ヶ所、九ヶ所、

が、銀座、日本橋をはじめ、深川、本所、淺草などの、一時に八ヶ所、九

ながら、模樣は何うかと、中六の廣通りの市ヶ谷近い十字街へ出て見ると、一度やゝ安心をしただけに、口

に、わらぢ穿で、雨のやうな火の粉の中を上野をさして落ちて行くと、揉返す群集が、

…東南に、芝、品川あたりと思ふあたりから、北に千住淺草と思ふあたりまで、此の大都の三面を弧に包んで、一面の

見ると……見渡すと……東南に、芝、品川あたりと思ふあたりから、北に千住淺草と思ふあたりまで、此の大都の三

――江戸のなごりも、東京も、その大抵は焦土と成んぬ。茫々たる燒野原に、ながき夜