田子の浦 番町 大阪 足柄 修善寺 箱根 越前 川崎 神奈川 岡山 神戸 神田 東京 市ヶ谷 新橋 麹町 品川 湘南

霞に顯はし、それ百人一首の三枚めだ……田子の浦に打出でて見れば白妙の――ぢやあない、……田子の浦ゆ、さ、

翌日、二十四――の赤帽君が、わざ／＼山の手の番町まで、「御免下さいまし。」と丁寧に門をおとづれて、切符代

「あの、此の汽車が、京、大阪も通るのだとすると、夜のあけるのは何處らでせうね。

御容色よしの同夫人、とめ子さんがお心入の、大阪遠來の銘酒、白鷹の然も黒松を、四合罎に取分けて、バスケツトとも

言つてはない。しかも眞夜中の道中である。箱根、足柄を越す時は、内證で道組神を拜んだのである。

かりを當にして、皆買つて食べるつもりの、足柄に縁のありさうな山のかみは、おかゝのでんぶを詰らなさうに

（信さん）が言つた。――案ずるに、此は修善寺の温泉に於ける、河鹿が吐く蜃氣樓であるらしい。かた／″＼、そんな

先以て、修善寺へ行くのに夜汽車は可笑い。其處に仔細がある。たま／＼の旅行

、どつちを見ぶつしても、其の日のうちに修善寺へ參られますよ。」

さと言つてはない。しかも眞夜中の道中である。箱根、足柄を越す時は、内證で道組神を拜んだのである

……しかし無理もない。こんな事を言つたのは恰も箱根の山中で、丁ど丑三と言ふ時刻であつた。あとで聞くと、此の

もう箱根から駈落だ。

、分つた――遙々と京大阪、神戸を通る……越前ではない、備前國糸崎である。と、發着の驛を靜岡へ戻して

の、月でも花でもあるものを――心あての川崎、神奈川あたりさへ、一寸の間だけ、汽車も留つたやうに思ふまでで

月でも花でもあるものを――心あての川崎、神奈川あたりさへ、一寸の間だけ、汽車も留つたやうに思ふまでで、それ

受けないで濟ましたが、米原で※るのか、岡山へ眞直か、自分たちの乘つた汽車の行方を知らない、心細さ

。それだと靜としては居られない。」「神戸行のです。」「私はそのあとので、靜岡まで行くんですが

。……行――行と、呼ぶのが、何うやら神戸行を飛越して、糸崎行――と言ふやうに寂しく聞える。急いで出る

しかめ面で恁う透すと、分つた――遙々と京大阪、神戸を通る……越前ではない、備前國糸崎である。と、發着の

つて、江尻へ出ると、もう大分以前に成るが、神田の叔父と一所の時、わざとハイカラの旅館を逃げて、道中繪のやう

時に起きて、たきたての御飯を掻込んで、四時に東京驛などとは思ひも寄らない。――名案はないかな――こゝ

て思當つた。人間朝起をしなけりや不可い。東京驛を一番で立てば、無理にも右樣の計略の行はれない事

「……九時五十分かの終汽車で、東京を出るんです。……靜岡へ、丁ど、夜あけに着きますから。

成つたり、嘘のないところ、溪河に流れたりで、東京驛に着いたのは、まだ三十分ばかり發車に間のある頃であつ

――後日、東京驛へ歸つた時、居合はせた赤帽君に、その二十四――の

、つい此頃筋向の※さんに教をうけた、市ヶ谷見附の鳩じるしと言ふ、やすくて深切なタクシイを飛ばして、硝子窓に吹つけ

。」「さあ……」と言つた、洋行がへりの新橋のちやき／＼も、同じく糸崎を知らなかつた。

休みだと云ふ。用をきいて、ところを尋ねるから、麹町を知らして歸ると、すぐその翌日、二十四――の赤帽君が、わざ

聞いてるかも知れない。」「驛前のタクシイなら、品川で間に合ふかも知れませんよ。」「そんな事はたゞ話だ

いや、張合もなく開くうち、「あゝ、品川ね。」カタリと窓を開けて、家内が拔出しさうに窓を覗い

大船で座を直して、かなたに逗子の巖山に、湘南の海の渚におはします、岩殿の觀世音に禮し參らす習