間引菜 / 泉鏡太郎 泉鏡花

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地名一覧

本郷

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もう其の翌日、本郷から見舞に來てくれた友だちが知つて居た。

番町

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此邊、幸ひに四五箇所殘つた、むかしの所謂、番町の井戸へ、家毎から水を貰ひに群をなして行く。……

茶畑で、狸が、ばつたを壓へたと言ふ、番町邊に、いつでも居さうな蛇と鼬を、つひぞ見た事がなかつ

本所

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野鼠を退治るものは狸と聞く。……本所、麻布に續いては、この邊が場所だつたと言ふのに、あゝ

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、町の小溝で鰯が掬へたと聞く。……嘗て佃から、「蟹や、大蟹やあ」で來る、聲は若いが、もういゝ加減

磐梯山

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あの、磐梯山が噴火して、一部の山廓をそのまゝ湖の底にした。……

四谷

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から、軍のやうな人ごみを、拔けつ、潛りつ、四谷の通りへ食料を探しに出て、煮染屋を見つけて、崩れた瓦、

東京

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、が其はまつたく暗かつた。――實際、東京はその一時、全都が火の消えるとともに、此の世から消えたの

今年は非常な暑さだつた。また東京らしくない、しめり氣を帶びた可厭な蒸暑さで、息苦しくして、

も掻みだすやうな風雨に成つた。驟雨だから、東京中には降らぬ處もあつたらしい。息を吐くやうに、一度止ん

麹町

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大燒原の野と成つた、下町とおなじ事、殆ど麹町の九分どほりを燒いた火の、やゝしめり際を、我が家を

いつて、尻まくりの逞しい一分刈の凸頭が「麹町六丁目が燒とるで! 今ぱつと火を吹いた處だ、うむ

新橋

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以前、何かに私が、「田舍から、はじめて新橋へ着いた椋鳥が一羽。」とか書いたのを、紅葉先生が

日比谷

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疋の小鼠をちよろ/\と連れて出て、日比谷を一散歩と言つた面で、桶の輪ぐらゐに、ぐるりと一巡二三

隅田川

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……可懷い秋の聲も、いまは遠く遙に隅田川を渡る數萬の靈の叫喚である。……蝋燭がじり/\とまた