本郷 三崎 越前 道成寺 川崎 江戸 四国 松山 東京 新橋 品川 湘南

―幼いうちから、孤だった私は、その頃は、本郷の叔父のうちに世話になって、――大学へ通っていました。

の箱だのが散ばって、小児づれの客が、三崎へ行く途中、昼食でもして行った跡をそのままらしい。障子はもとより

第一の高山にして、郡の東南隅に秀で、越前、美濃、飛騨に跨る。三峰あり、南を別山とし、北を大

まい。……扱帯を繋いで、それに縋って、道成寺のつくりもののように、ふらふらと幽霊だちに、爪立った釣身になって覗い

――川崎を越す時分には、だらりと、むく毛の生えた頸を垂れて、白襯衣

に結った三十そこらのでも、差支えぬ。むかしは江戸にも相応しいのがあった、娘分と云うのである。で、また仮

、わざと木曾の山路の寂しい中を辿って伊勢大和めぐり、四国まで遍路をする。……笈も笠も、用意をしたと、毎日の

見ると、これが空蝉になって、二人は、裏の松山へ、湯どのから消失せたのではなかろうか――些と仰山なよう

、意気なり、婀娜なり、帯、小袖をそのままで、東京をふッと木曾へ行く。……と言う事であったとし

干からびた大沼を見た時は、何だか焼原の東京が恋しくなった。

、細いのが私の方に。）と女同士……東京子は小遣を使います。野掛け気分で、ぶらぶら七八町出掛けまして、

立てていさっしゃりますよ。姉さんじゃ。弟どのは、東京の学校さ入っていさっしゃるで。……地震の時は留守じゃった

ただ不思議な事は、東京へ帰りましてからも、その後時々逢いますが、勝手々々で、

さあ、あれは明治何年頃でありましょうか。……新橋の芸妓で、人気と言えば、いつもおなじ事のようでございますが、

して、退屈などと云う贅沢は言っていられない、品川でまた一もみ揉込んだので、苦しいのが先に立ちます。

中へ出る人物は、芸妓が二人、それと湘南の盛場を片わきへ離れた、蘆の浦辺の料理茶屋の娘…