北海道 奥州 医王山 越前 諏訪 本所 江戸 音羽 福井 深川 神田 東京 両国橋

その他はただ青き山と原野なり。人煙の稀少なること北海道石狩の平野よりも甚し。

奥州……花巻より十余里の路上には、立場三ヶ所あり。その他はただ青き

というもの。三州奇談に、人あり、加賀の医王山に分入りて、黄金の山葵を拾いたりというに類す。類すといえど

余り語らず、あるいは皆無にはあらずやと思う。ただ越前には間々あり。

化物ありける。或暮年の頃廿五六なる若侍一人、諏訪の前を通りけるに常々化物あるよし聞及び、心すごく思いけるおり、又廿

状を思うより前に――何となく今も遥かに本所の方へ末を曳いて消え行く心地す。何等か隠約の中に脈を

ども、山男にて手を加えんとせんか、女が江戸児なら撲倒す、……御一笑あれ、国男の君。

を買いて墓の中に嬰児を哺みたる物語の、音羽にも四ツ谷にも芝にも深川にもあるがごとし。かく言うは、あえて

近ごろある人に聞く、福井より三里山越にて、杉谷という村は、山もて囲まれたる湿地にて

哺みたる物語の、音羽にも四ツ谷にも芝にも深川にもあるがごとし。かく言うは、あえて氏が取材を難ずるにあらず

われ等もしばしば伝え聞けり。これと事柄は違えども、神田の火事も十里を隔てて幻にその光景を想う時は、おどろおどろしき

さりながらかかる太平楽を並ぶるも、山の手ながら東京に棲むおかげなり。

ずとも計り難し。この例本所の脚洗い屋敷にあり。東京なりとて油断はならず。また、恐しきは、

、おどろおどろしき気勢の中に、ふと女の叫ぶ声す。両国橋の落ちたる話も、まず聞いて耳に響くはあわれなる女の声の