愛宕山 名古屋 大阪 大木戸 東京 新橋 品川

ある。是しかしながら汽車がやがて飛行機に成つて、愛宕山から大阪へ空を翔る前表であらう。いや、割床の方、……澤山おしげり

鮨、お辨當、鯛めしの聲々勇ましく、名古屋にて夜は全く明けて、室内も聊か寛ぎ、暖かに窓輝く。

大阪まで

つて居るんぢやありませんか。――一層一思ひに大阪へ行つて、矢太さんや、源太さんに逢つて、我儘を言つていら

も乘後れたら停車場から引返さう、それが可い、と目指す大阪を敵に取つて、何うも恁うはじめから豫定の退却を畫策すると

、妻あり、眷屬あり、いろがあつて、金持で、大阪を一のみに、停車場前を、さつ／＼と、自動車、俥、歩行くの

萬、戸數……萬なる、日本第二の大都の大木戸に、色香も梅の梅田に着く。

今年三月の半ばより、東京市中穩かならず、天然痘流行につき、其方此方から注意をされて、身

土橋を斜に烏森、と町もおどろ／＼しく、やがて新橋驛へ着いて、づぶ／＼と其の濡幌を疊んで出で、※

……品川へ來て忘れたる事ばかり――なんぞ何もなし。大森を越すあたりで