関西 嵐山 京都 東京

師匠が住んでゐた。軍記物の名手ださうで、関西ではかなり名の売れた師匠ださうだ。僕が最初三目置いたが

は、去年の一月末日だつた。始め隠岐和一の嵐山の別宅へ行つたが、のち、隠岐の探してくれた伏見のしもたやの二

その下へ、囲碁倶楽部といふ看板がふえた。僕が京都へ残して来た仕業である。看板の指し示す袋小路のどん底に、白昼も

京都の伏見稲荷の近辺に上田食堂といふのがある。京阪電車の「稲荷」

書きかけの長篇小説の原稿をふところに入れて、僕が京都へ行つたのは、去年の一月末日だつた。始め隠岐和一の

ひ、毛髪蓬々、肩に風を切つて歩く人種を、京都では一列一体に絵師さんと呼び、さてこそ先生である。親爺は僕

碁会所の連中も、みんな僕を先生とよぶ。僕が愈々京都を去るとき、碁会所の連中、鶏を数羽つぶして盛大な送別会を開い

の創設から肩を入れること並々でなく、宣伝のために京都中を駈まわつたものだ。然し警察がよくよく性に合はないと

にすむ筈である。あはよくば腕をみがいて、東京の連中に一泡吹かしてやらうといふ遠大な魂胆もある。