番町 小石川 札幌 甲州 牛込 四谷 麹町 向島 大塚 目白 市ヶ谷

作家は恥しい――皆が然うではあるまいが――番町の私の居るあたりでは犬が吠えても蛙は鳴かない。一度だつて

、大きな新しい坂である。此の坂の上から、遙に小石川の高臺の傳通院あたりから、金剛寺坂上、目白へ掛けてまだ餘り手

て、「此が惠比壽ビールの、此が麒麟ビールの、札幌の黒ビール、香竄葡萄、牛久だわよ。甲斐産です。」と、活東

見たさで、惡いと知つた一方は日光、一方は甲州、兩方を、一時に覗かずには居られないからで。――鄰村

だから此の邊には居ないのらしい。――以前、牛込の矢來の奧に居た頃は、彼處等も高臺で、蛙が

／＼と幾千萬艘。――家内が此の時も四谷へ髮を結ひに行つて居た。女中が洗濯をして居た。

小旦那たちが皆無だと思はれない。一町ばかり、麹町の電車通りの方へ寄つた立派な角邸を横町へ曲ると、其處

の方で、あとから／＼、來るのは、東南の麹町の大通の方からである。數が知れない。道は濡地の乾くの

ないのが、もの足りなくつて、御苦勞千萬、向島の三めぐりあたり、小梅の朧月と言ふのを、懷中ばかり春寒く痩腕

久しい以前だけれど、大塚の火藥庫わき、いまの電車の車庫のあたりに住んで居た時、

に小石川の高臺の傳通院あたりから、金剛寺坂上、目白へ掛けてまだ餘り手の入らない樹木の鬱然とした底に江戸川

私たちでも最う忘れて居る、中六番町の通り市ヶ谷見附まで眞直に貫いた廣い坂は、昔ながらの帶坂と、三

行く。……前へ／＼、行くのは、北西の市ヶ谷の方で、あとから／＼、來るのは、東南の麹町の大通の