隅田 吾妻橋 雷門 上野 日本橋 浅草 浅草橋 蔵前

一面の池で、また思懸けず、船が一舳、隅田に浮いた鯨のごとく、池の中を切劃って浮く。

鼠の鍔をぐったりとしながら、我慢に、吾妻橋の方も、本願寺の方も見返らないで、ここを的に来たように

は厩橋、蔵前でも、駒形でも下りないで、きっと雷門まで、一緒に行くように信じられた。

さあ、浅草へ行くと、雷門が、鳴出したほどなその騒動。

今朝は麗かに晴れて、この分なら上野の彼岸桜も、うっかり咲きそうなという、午頃から、急に吹出して

は拒まず……去るものは追わずの気構え。上野行、浅草行、五六台も遣過ごして、硝子戸越しに西洋小間ものを

一帆がその住居へ志すには、上野へ乗って、須田町あたりで乗換えなければならなかったに、つい本町の角

電車のちょっと停まったのは、日本橋通三丁目の赤い柱で。

……去るものは追わずの気構え。上野行、浅草行、五六台も遣過ごして、硝子戸越しに西洋小間ものを覗く人を

やがて、心着くと標示は萌黄で、この電車は浅草行。

さあ、浅草へ行くと、雷門が、鳴出したほどなその騒動。

ならなかったに、つい本町の角をあれなり曲って、浅草橋へ出ても、まだうかうか。

で、そこまで行くと、途中は厩橋、蔵前でも、駒形でも下りないで、きっと雷門まで、一緒に行くように

が、蔵前を通る、あの名代の大煙突から、黒い山のように吹出す煙が、