飛騨国 東京

飛騨国の作人菊松は、其処に仰ぎ倒れて今も悪い夢に魘されて居るやうな

『天守の魔物は何時から棲むよ。飛騨国の住人日本の刻彫師、尾ヶ瀬菊之丞孫の菊松、行年積つて七十一歳

までは愚な事、百里、二百里、故郷までも、東京までも、貴様の手から救ふためには、飛んでも帰るつもりで

「東京駿河台に家があつた、其の二階でした。」

言ふわけ合で、私等が気にや天上界のやうな東京から、遥々と……飛騨の山家までござつたかね。」

『豪い、東京の客を魅すのは豪儀だ。ひよい、と抱いて温泉宿の

で出合がしらに、一同は騒ぎ立てた。就中、わざ／＼東京から出張つて来た親類のものは、或は慰め、或は励まし、又戒め

『はい、……えゝ、東京からござつた旦那方も其のつもりで相談打たしつた。奥様の居さつし

東京に帰つて後、呼べば応へて顕はるゝ、双六谷の美女の