辰巳 大島町 番町 入谷 八幡宮 江戸 佐賀町 四谷 鹿島 入船町 福島 佐賀 長崎 深川 人形町 神田 日本橋 品川 東京 吉祥寺 銀座 永代橋 隅田川 小名木川 新大橋

ほゝゝ。」とあだに笑つた。どうも、辰巳はうれしい處である。

晩の御馳走……より前に、名の蛤町、大島町かけて、魚問屋の活船に泳ぐ活きた鯛を、案内者が見せようといふ

で、もと柳橋で左褄を取つたのが、最近、番町のこの近所へ世帶を持つた。お料理を知つて、洗方に

に樂園に化して、いまは見えぬ、團子坂、入谷の、菊、朝顏。萩寺の萩、を凌いで、大東京の名所

と註し、電車が複線といひたしたい。大汐見橋を、八幡宮から向つて左へ、だら／＼と下りた一廓であつた。

に、……えゝと――安政二年乙卯十月、江戸には地震の騷ぎありて心靜かならず、訪來る人も稀なれば、

のある人は、六間堀方面に行くがよい――江戸の水の製造元、式亭三馬の墓は、淨心寺中雲光院にある。

た如く、麥稈をゆり直して、そこで、左へ佐賀町の方へ入つたのであるが。

長槍、張飛、趙雲の概のない事はない。いつか四谷の堂の扉をのぞいて、眞暗な中に閻王の眼の輝くととも

で見た……大びけ過ぎの遣手部屋か、否、四谷の閻魔堂か、否、前刻の閻王の膝の蔭か、否。今しがた

しかし思へ。鹿島へ詣でた鳳凰も、夜があければ風説である。――鶴歩橋の

、河岸を拔けて、電車に乘つた。木場一圓、入船町を右に、舟木橋をすぎ、汐見橋を二度渡つて、町はまだ

「――そこを眞直が福島橋で、そのさきが、お不動樣ですよ、と圓タクのがいひ

た如く、麥稈をゆり直して、そこで、左へ佐賀町の方へ入つたのであるが。

御存じの通り、佐賀町一廓は、殆ど軒ならび問屋といつてもよかつた。構へも

當つたつて、一つ船を押せば上總澪で、長崎、函館へ渡り放題。どんな拔け裏でも汐が通つてゐますから

深川淺景

を捻つて行く。……といふのでは、深川見物も落着く處は大概知れてゐる。はま鍋、あをやぎの時節でなし

。どんな拔け裏でも汐が通つてゐますから、深川に行留りといふのはありませんや。」

と……吾が本所の崩れたる家を後に見て、深川高橋の東、海邊大工町なるサイカチといふ處より小名木川に舟うけ

――元服をしたんですがね――富川町うまれの深川ツ娘だからでもありますまいが、年のあるうちから、流れ出して

の寄るが如く、ゆら／＼と皆ゆれた。……深川の水は、はじめて動いた。……人が波を立てたやうに。

某活動寫眞の世話をされた事がある。場所を深川に選んだのに誘はれて、其の女優……否、撮影を見に

鯉に乘つた琴高を羨むには當らない。わが深川の兄哥の角乘は、仙人を凌駕すること、竹の柄の鳶口約

けれども、驚破洪水と言へば、深川中、波立つ湖となること、傳へて一再に留まらない。高低と汐の

つたのは、最早や、女房にも娘にも、深川の人どころでない。百里帶水、對馬を隔てた隣國から入稼ぎの

でもねえ。盲目だ。――盲目なんだから、深川七不思議の中だらうぜ。こゝらも流す事があるだらう。仲町

お糸さんに呑込まして、何でも構はぬ、深川で育つた土地ツ子を。――

知己があらう筈はない。……こゝの御新姐の、人形町の娘時代を預かつた、女學校の先生を通して、ほのかに樣子

濡れてゐます。……震災に燒けたんですが、神田の明神樣のでも、何所のでも、銀杏は偉うございますな。

大川此方の町の、場所により、築地、日本橋の方からも永代を渡るが、兩國橋、もう新大橋となると、

を透通つて、洲崎の海、永代浦から、蒼波品川に連つて、皎々として凍る時よ。霜に鳴く蟲の黒い

菊、朝顏。萩寺の萩、を凌いで、大東京の名所と成らう。凡そ、その町の顯はるゝは、住む人の

といふべからず、これによりて西入船町を限り、東吉祥寺前に至るまで、凡そ長さ二百八十間餘の處、家居取沸ひ、

つた同伴と、更に顏を見合はせたが、本通りは銀座を狹くしたのとかはりのない、千百の電燈に紛れて、その

今しがた、永代橋を渡つた處で、よしと扉を開けて、あの、人と車と

私は、實は震災のあと、永代橋を渡つたのは、その日がはじめてだつたのである。二人の風

から驚きますな。中洲と、箱崎を向うに見て、隅田川も漫々渺々たる處だから、あなた驚いてはいけません。」

深川高橋の東、海邊大工町なるサイカチといふ處より小名木川に舟うけて……」

―はゝゝ。も一つ上が萬年橋、即ち小名木川、千筋萬筋の鰻が勢揃をしたやうに流れてゐます。

ない。高低と汐の勢ひで、あの油堀、仙臺堀、小名木川、――且辿り、且見た堀は、皆滿々と鮮しい水を

、日本橋の方からも永代を渡るが、兩國橋、もう新大橋となると、富岡門前の大通りによらず、裏道、横町を拾つて