名古屋 番町 銚子 出雲 宍道湖 江戸 松江 新潟 東京 麹町

その夜、松の中を小提灯で送り出た、中京、名古屋の一客――畜生め色男――は、枝折戸口で別れるのに、恋々

それを、しかも松の枝に引掛けて、――名古屋の客が待っていた。冥途の首途を導くようじゃありませんか、

言う。その五年前、六月六日の夜――名古屋の客は――註しておくが、その晩以来、顔馴染にもなり、音信

とお町が堅く言わないのだそうであるから、ただ名古屋の客として。……あとを続けよう。

名古屋の客は、あとで、廓の明保野で――落雁で馴染の芸妓を

うぐい提灯で送って出ると、折戸を前にして、名古屋の客が動かなくなった。落雁の芸妓を呼びに廓へ行く。是非送れ

馴れていても、女中だって堅い素人なんでしょう。名古屋の客に呼ばれて……お信――ええ、さっき私たち出しなに駒下駄を

て、入口に立ちますとね、（そこへ。）と名古屋の客がおっしゃる。……それなりに敷蒲団の裾へ置いて来たそうです

「名古屋の客が起上りしな、手を伸ばして、盆ごと取って、枕頭へ宙を

名古屋に時めく大資産家の婿君で、某学校の教授と、人の知る……

足がよろめいて、自分がドシンと倒れたかと思う。名古屋の客は、前のめりに、近く、第一の銅鍋の沸上った中へ面

の皺が裂けるかと思う時、ひいても離れなかった名古屋の客の顔が、湯気を飛ばして、辛うじて上るとともに、ぴちぴちと魚

も、町の三辻の処で見返った。春闌に、番町の桜は、静である。

と白い手と一所に、銚子がしなうように見えて、水色の手絡の円髷が重そうに俯向いた。――

ては唐突で、ちと飛離れているけれど、松江だね、出雲の。……茶町という旅館間近の市場で見たのは反対だっけ―

市場のすぐ見通しが、大きな湖だよ、あの、有名な宍道湖さ。」

外套氏と寸毫のかかわりもない。続いて、仙女香、江戸の水のひそみに傚って、私が広告を頼まれたのでない事も

―ここで言っては唐突で、ちと飛離れているけれど、松江だね、出雲の。……茶町という旅館間近の市場で見たの

雪の中を、里見、志賀の両氏が旅して、新潟の鍋茶屋などと併び称せらるる、この土地、第一流の割烹で一酌

「……と言われると、第一、東京の魚河岸の様子もよく知らないで、お恥かしいよ。――ここで言っ

といっては断じてあるまい。何しろ、話だけでも東京が好きで、珍らしく土地自慢をしない娘も、対手が地方だけに、

会に、お向うの遠藤さんと、家内と一所に、麹町六丁目、擬宝珠屋根に桃の影さす、真宝寺の花御堂に詣でた。寺内