女子霧ヶ峰登山記 / 島木赤彦
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しても、随分価値のある山で、山麓(上諏訪町下諏訪町方面)より山頂にいたるまで、甚だ多方面の植物を分布してある。昨年頂
水に映ったさまはやや凄寥の気味に打たれる。下諏訪町から登れば東股官林を過ぎて直ちにこの八島の池に出るのである
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光景を眺めて立った。薄霧の末には遙かに諏訪湖さえ見えている。生徒の喜びは大したものであるが、余はこの晴が
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に、石の祠が埋れて居る。その直ぐ側には山梨の古樹が一本立って居るが、草寒き山上の風に吹きたわめ
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ある。曩に三河国の某女が、下駄がけを以て富士登山の先駆をなし、野中千代子が雪中一万二千尺の山巓に悲壮なる籠居を敢てせ
十五六年頃からは、各地女学校の団隊が追々富士登山を試みる様になったのは、寔に喜ばしい現象である。余の記憶に
記憶に存して居る者のみにても、此の二三年に、富士登山を試みたのは余程ある。即ち三十六年には女子美術学校の生徒が登り、
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突内外で、その上に傾斜が極めて緩慢であるから、上諏訪町附近の人が、春から夏秋にかけての登山は、丁度日曜の遠足に
地としても、随分価値のある山で、山麓(上諏訪町下諏訪町方面)より山頂にいたるまで、甚だ多方面の植物を分布してある。昨年
を合せて同勢十九人、八月二十日午前七時、上諏訪町を出発した。
一体上諏訪から、霧ヶ峰に登るのは、上諏訪町の新殖民地たる、小県郡オメグラ山村に通ずる星糞峠の山道によるのが
通ずる星糞峠の山道によるのが順路であるが、上諏訪町から一里の角間新田までは、全く霧ヶ峰から流出する角間川の谷に沿う
された火山集灰岩の小丘で、極点の断面を上諏訪町の背後に現して、諏訪沖積層との限界をつくって居る。丘上は落葉松の
て、それから角間川沿の大道を辿って午後七時上諏訪町に著いた頃は、全くの青天となって八月の夕日が、諏訪湖
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困難である。十五人は道ばたの丈長い萩叢や、菅原にその頭までが埋もれて体一面びしょ濡れである。坂の中途に一つの
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余は熱心なる女子登山希望者である。曩に三河国の某女が、下駄がけを以て富士登山の先駆をなし、野中千代子が雪中
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遠く上伊那境の連山まで拡がって、山襞の凹所から、天竜川の日に輝きつつ流出する遠方まで明瞭に見渡される。女生徒等は盛に草原
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従って咲き続いて居る。霧は捲き去り捲き来って、天上山上渾ての有象を一擲して、宇宙の永劫に投じ去るかと思わせる。
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雪中一万二千尺の山巓に悲壮なる籠居を敢てせし以来、奈良朝の昔、金峰山の女尼が、六尺男児を後へに瞠若たら