清貧の書 / 林芙美子
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結局、義父たちが佐世保に落ちついてもう一年になるけれど、海兵団のトロ押しが、とうとう義父の働く
僕の事について認識不足だよ。僕からも、佐世保へ手紙を出しておこう。君は働きたいとあるが、それもいいだろう。
――ところで、こんな甘いことも時に考える。二人で佐世保へ新婚旅行ぐらいしてみたいとね。兵営の中は殺風景で、寝ても
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。小松与一と云うペンキ屋で、目下上野の博覧会でもって東照宮の杉の木を日慣らし七八本は描いていますよ」
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私は、長崎の石畳の多い旧波止場で、義父が支那人の繻子売りなんかと、店
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いると云う事が、一番胸にこたえた。――もう東京に来て四年にもなる。さして遠い過去ではない。
「東京中探しても、こんな良い所は無いだろうね」
をまわった義父の真黒に疲れた姿、――私は東京へ出た四年の間に、もう弐拾円ばかりも、この貧しい両親
ておこう。同封の金は、隊で貰ったのと、東京を出る時、旅費や宿料の残りだ。僕は壱銭もなくなった。
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て、荷箱のように小さい、鳩と云う酒場などは、銀座を唄ったレコードなんかを掛けていたりした。
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たまえ。ハッキリと云えばいいンだ。……俺は明日上野の博覧会にでも廻ってみよう。ペンキ屋の仕事のこぼれが少しはあるだろう
事だろう。帯を売って五日目だ。もう今朝は上野へ行く電車賃もないので、与一は栗色の自分の靴をさげて例
「そうですよ。小松与一と云うペンキ屋で、目下上野の博覧会でもって東照宮の杉の木を日慣らし七八本は描いてい
上野の博覧会の仕事もあと二三日で終ると云う夕方、与一は頭中を