帯広まで / 林芙美子
地名一覧
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行こうと云った。二人は灯の消えた仲店を抜けて雷門を出ると、屋台店に添って雪の中を田原町の方へ歩いて行っ
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。函館へ着くと、半分に分れて、一方は小樽から札幌、岩見沢、旭川、わっかないと云う順に廻り、一方は室蘭、帯広、釧路
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と、半分に分れて、一方は小樽から札幌、岩見沢、旭川、わっかないと云う順に廻り、一方は室蘭、帯広、釧路、網走と巡っ
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「じゃ、北海道のどこかなのね、お国は……」
伊代は有名な化粧クリームの広告で、マネキン七八人連れで北海道へ一ヶ月の約束で買われて行った。函館へ着くと、半分に分れ
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「私、巴里の屋根の下なのよ」
枚張りつけてある。黒い靴下を腿のつけ根まではいた巴里のカンカン踊りをやった時なのだ。――野桜の繁った川添いへ
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行った。函館へ着くと、半分に分れて、一方は小樽から札幌、岩見沢、旭川、わっかないと云う順に廻り、一方は室蘭、
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を田原町の方へ歩いて行った。公園の中から田原町までの短い間に、九太は伊代の身上のあらましを聞くことが出来た
抜けて雷門を出ると、屋台店に添って雪の中を田原町の方へ歩いて行った。公園の中から田原町までの短い間に、
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上野の音楽学校を中途で止めると、何を考えてか浅草の水族館の上にあるレヴィユー小舎へ楽士として雇われて来た。
伊代は九太と識りあうまで浅草の水族館の上にあるレヴィユー小舎の踊り子をしていた。金魚のよう
伊代は浅草時代に返ったように胸がいっぱいであった。何か云いたかったけれど
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九太は伊代と同じくレヴィユー小舎でヴァイオリンを弾いていた。上野の音楽学校を中途で止めると、何を考えてか浅草の水族館の上
その雪の日から間もなく、上野の九太のアパートへ伊代がうつって来た。伊代がうつって来ると、
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たように新市区の映画館を渡り歩き、三年目には高田馬場の小さな映画館の楽士になっていた。その頃の九太にとっては
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た。伊代がうつって来ると、九太は水族館を辞めて新宿西武館の楽士に雇われて行った。映画館の楽士に落ちつくと、九太
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歩いたが、脚が長いのですがすがしく見えた。伊代は銀座裏の小さい踊り場のダンサアになった。踊る時は何時も面白いビーズの手提袋
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伊代はマネキンになると、下駄屋の二階を引き払って渋谷の倶楽部の近くのアパートへ越して行った。下駄屋の二階よりは
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泣いていたことが、馬鹿々々しかった。これなら東京へ帰っても元気で生活出来ると思った。話していると、まるで心