濡れた葦 / 林芙美子
地名一覧
千葉
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してゐて、年は二十三だと云つてゐた。千葉の女で、まだ田舍から出て來たばかりらしく、着物のこのみも、
木山は胸をわるくして、千葉の稻毛海岸に保養に行つてゐると云ふことである。宿の名も
新宿
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旅館も、なかへはいつてみると古ぼけた造作で、新宿の賑やかな通りに、こんな古めかしい旅館があるとはおもへないくらゐだつた。
てゐる。生死の河を渡らんには‥‥昨夜の新宿の宿のおもひが、ふじ子の胸にぐつとせりあげてきた。
銀座
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は、丁度、こんな時分であつた。――八重子は、銀座裏の酒場の女給をしてゐて、年は二十三だと云つてゐ
東京
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の常の娘のやうに、自分も希望に燃えてこの東京へ出て來たのだ。上京すると、ふじ子は間もなく知人の
いゝのですが、こゝが氣にいつてしまつて、東京へ歸りたくなくなつて弱つてゐます」
たふして、祖母の貯金を全部おろして瓢然とまた東京へ戻つて來た。
が、それでも、子供たちへ土産物を買つたりして東京へ戻つて來た。ふじ子へ會ひたいとは思はなかつたが子供たちには
のもとへ歸るのが億劫で、靜岡から、わざわざ八重子へ東京着の時間を電報で打つたりしておく勝手さもあつた。
會ひたくて仕方がなかつた。そのくせ、廣太郎は、東京驛から、素直にふじ子のもとへ歸るのが億劫で、靜岡から、わざわざ
東京は雨が降つてゐた。
赤煉瓦の東京驛のホームへ、汽車がすさまじい勢で這入つて行つた。帽子をあみだに
家から、こちらには戻つてゐないが、當分、東京へは歸らぬだらう、母子共健在故安心してくれと云つた返電
、もう、すつかり、この海邊の生活になついてしまつて東京へ歸らうとは申しません。どうぞお元氣でゐて下さい。籍の