秋果 / 林芙美子

秋果のword cloud

地名一覧

妹背山

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たと云ふことがまるで夢のやうだつた。舞臺は妹背山の菊五郎のお三輪があどけない姿で踊りをおどつてゐる。――

追分

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青少年義勇隊に應じて、滿洲のジヤムス近くにある追分と云ふところに行つてゐると云ふことだつた。久しぶりに東京へ戻つて

九州

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お出掛けで留守ですと云つた。工藤さんのおくさんは、九州の方だとかで氣分のいゝ明るいひとですと話してゐた。あゝそう

ざはしてゐた。もんの机のまはりにも、九州言葉の娘もおれば、東北なまりの娘もゐた。インクの乾いた硝子瓶

大木戸

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大木戸のアパートへ戻つたのが十一時頃だつた。弟はもうよく眠つてゐ

日比谷公園

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もんは外套を着て通ふころになつて、もんは日比谷公園の前で思ひがけなく工藤に逢つた。工藤は外套も着ないで海老茶色

長崎

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。丁度、一年前のいまごろ、秋雨のしとしと降つてゐる長崎の町で、工藤へ船の名前を知らせてやつたものだつた。

迎へに來ないと云ふはずはない。雨の降る日に長崎の町を發つて、翌日上海へ着いた時は、上海はからりとし

佐賀

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つてしまつた。米倉は早くから妻君を亡くして、佐賀の田舍には女の子が一人あるのだと話してゐた。よく酒

新宿

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とした夜風が吹いてゐた。安全地帶で、暫く新宿行きの電車を待つてゐたが、來る電車も、來る電車も滿員

人達が、ぞろぞろ自分のそばを通つてゐた。新宿行の電車の通つてゐる四ツ角の安全地帶のところまで來ると

東京

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、手に大きい黒いハンドバツグをさげてゐるひとなど、暫く東京を離れてゐたもんには新鮮な感じでこの女づれが眺められた

と云ふわけではなかつたけれど、獨りで住むにはやつぱり東京がいゝと思つた。軈て暫くしてから、やつと少しばかり空いた電車

で、東京の街のすべてがなつかしくて仕方がなかつた。東京はやつぱりいゝところだと思つた。何處がいゝと云ふわけではなかつた

もんは昨日、上海から戻つて來たばかりで、東京の街のすべてがなつかしくて仕方がなかつた。東京はやつぱりいゝところだと

顏をしてゐたけれど、どのひとの服裝もちやんと東京の街に似合はしく調和がとれてゐた。幸福さうな人達だ

ところから、いまは戰ひやぶれたやうな氣持でもんは東京の弟のアパートへ戻つて來てゐるのだ。丁度、一年前の

と云ふところに行つてゐると云ふことだつた。久しぶりに東京へ戻つてみるとたつた四人暮しの肉親の上にも大きい身上

年ぶりに東京へ戻つて來たのである。いまは東京には弟の守一ひとりしかゐなかつた。父は仙臺の田舍へ

一度支那料理店で逢つたきりで、もんは一年ぶりに東京へ戻つて來たのである。いまは東京には弟の守一ひとりしか

ないンだし、そうしたら、私、お父さんと二人で東京で暮しますよ。うちの亡くなつたお母さんも、早く亡くなつてしまつ

希望はなかつたけれども、それでも、一年ぶりの東京での生活のせゐか、もんは活々としてゐた。軈て間

ことは何となくもんは臆病になつてゐる。もんは東京へ戻つて來てからは妙に長生きをしたいと念じてゐた。

になつてしまつたのか、人間が流木のやうにどんどん東京と云ふ河口へ流れて來てゐる。庶務課のひとは、もんの履歴書

行きの市電へ乘つた。街路樹の枯れ果てた秋の東京の街は銀色にいぶしたやうに白つぽく見える。こんな年になつて

出て行つた。一日も早く就職して、父親を東京へ呼びたかつた。昨日と今日、新聞を切り拔いておいたところ

日本橋

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と、このアパートにもう二年も獨りで住みついてゐる。日本橋の或る信託會社に勤めてゐて、時々詩や小説なんかを書いてゐ

内幸町

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はいまもつて遠い距離があるやうに思へた。二人は内幸町まで歩いて、お茶も飮まないで寒い街角で別れた。二三日

はさほど困らなかつた。――もんはその日に麹町内幸町の大阪ビルにあるMパルプ工業會社の支店に勤めるやうになつた。昔

麹町

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にはさほど困らなかつた。――もんはその日に麹町内幸町の大阪ビルにあるMパルプ工業會社の支店に勤めるやうになつた。