明治開化 安吾捕物 08 その七 石の下 / 坂口安吾

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地名一覧

秩父

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山の中をブラブラ歩いていたが、三日目に秩父の自宅へ戻って行った。

に私のところへ引移ってくるがよい。あの山奥の秩父だけはたった一ツの安全地帯だから。この家はいずれ泥棒どもに住み荒され

こわされてしまうだろうが、ただ捨てるのが心残りならば、秩父の私の別邸とこの屋敷を取換えてやろうと思うが」

のは今から十五年前のことである。安倍家は秩父の豪家であったが、兆久に事業癖があって、鉱山に手を

ひんむいてやるから、それまで待つがよい。東太はオレが秩父へつれて帰って、仕込み甲斐もなかろうが、多少は智恵のつくように手

天鬼は秩父から約束通り、入間玄斎、同人妻お里の両名をさしむけた。天鬼の知人

ソチ

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られているのだから、何も心配することはない。ソチの家がタナグ山の神霊の化身たる私の神殿となることも太古からの

佐渡

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伊豆北山を掘らせると多量の金がでた。つづいて佐渡に金山をひらき、そのフシギな手腕を認められて、経済運営の任に当り

関東

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寛永寺にたてこもった幕府軍が敗走し、戦火が次第に関東から奥州へと延びる気配になったころ、父の兆久と兄の天鬼が

奥州

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にたてこもった幕府軍が敗走し、戦火が次第に関東から奥州へと延びる気配になったころ、父の兆久と兄の天鬼が三十五日

川越

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さっそく旅支度をととのえ、二人に案内されて、川越在の千頭家へおもむいた。きいてみれば、村の姿も、建物も

ところが川越の近在で酒造業をやっていた男が、せっかく仕込んだ酒を、樽

ふと川越の居酒屋で一パイのんだのが、これを運命というのであろう。

そこで新十郎は田舎通人と虎之介にとりまかれつつ、川越へ到着したのである。

「とうとう川越の居酒屋で、タナグ山の祭神が、石だということを突きとめて、次の日

した形跡がない。その必要がなかったのである。川越へ再出発に一二日間があるから、いつものように慌てる必要がないのだ。

金山

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を掘らせると多量の金がでた。つづいて佐渡に金山をひらき、そのフシギな手腕を認められて、経済運営の任に当り、諸国

江戸城

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アいけねえぜ。オレが十日もコンをつめりゃア、江戸城だって築いてみせらア。ハッハ」

江戸

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はさッさと白をとった。神田の甚八といえば江戸名題の賭碁のアンチャン。本職は大工だが、碁石を握ると素人無敵、本因坊

押されている達人であった。しかし甚八は怖れない。江戸の素人天狗なら三目置かせて総ナメにしてみせらアと猪のよう

て一文無しで叩き上げた筋金入りの腕前。生馬の目玉をぬく江戸の天狗連を総ナメのアンチャンだ。二目はおろか三目でも負かしてみせ

「私の耳には江戸の噂も稀にしか届かないが、六段格の甚八さんという名は

た。なんたることだ。田舎碁打じゃアあるまいし、賭け碁で江戸の天狗連を総ナメの甚八が、この筋を見落すとは! 黒石は死ん

「江戸の碁打の甚八とやらを指し示していたのとは違うか」

ちょうどその頃は薩長軍が江戸をさして攻めのぼってきた時であった。山ちかい辺地とても、流言のざわめき

日がきて、近在の人々が集った。そのとき、江戸から回向にきてくれた碁打の一人が、

「甚八と申せば江戸の素人天狗は三目でもめったに歯の立たぬ豪の者。まず二

ずの好きな道で、石を握れば、今もって江戸の素人では並ぶ者なし、彼を打ちまかす新進の素人天狗は一人もでた

大々的に陶器をやかせて失敗したり、山気を起して江戸を往復するたびに先祖伝来の莫大な財宝をすりへらして死んでしまった。

神田

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と、甚八はさッさと白をとった。神田の甚八といえば江戸名題の賭碁のアンチャン。本職は大工だが、碁石

、仏は勝碁の途中になくなられたとのこと、神田の甚八に四目置かせて勝碁とはさてさて怖しいことでござるが、

やるから覚えてやがれ。ついでに石の下の金箱をゴッソリ神田へミヤゲは持って帰ってやらア。アッハッハ」

なくよくもナメたマネをしやがるな。ようし。オレも神田の甚八だ。てめえらがその気なら、こッちは逃げ隠れするものかい

だなア。アタゴ山とはだいぶ違わア。だがナ。神田の甚八を見損っちゃアいけねえぜ。オレが十日もコンをつめりゃ

。大八車に何台という財宝を隠すからには、いかに神田の甚八の眼力といえども、易々見破れるものじゃアない。山てえものは

甚八は神田の職人。一度むくれたらテコでも動くもんじゃない。須曾麻呂はこれを

上野

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に苦しんだ。津右衛門が死んで一ヶ月ほどたって、上野寛永寺にたてこもった幕府軍が敗走し、戦火が次第に関東から奥州へ

東京

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「東京へ買い物のツイデにお寄りしたのです。すこし間があると思いまし

な結論はでてこない。たとえば甚八が癇癪を起して東京へ帰る。それが二十一周忌の一件に何かの影響があるだろうか

「オレは東京の大工だが、旦那にたのまれて石を探している者だがね

てみればどこかに石があるのだろうが、それを東京へ持って帰るわけにもいかねえだろうよ」

をとって、精根つくして秘密の石を見届けてやろう。東京から二三人若い者をよびよせて、万事手ぬかりなくやるから成功疑いなしだと

東京から出張してきた医師によって、甚八の毒殺は確定した。

「さア、東京へ戻りましょう」

「いったん東京へ戻って、二三日後に、また出直して参ることに致しましょう。それ

大久保

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この文中の佐渡金山奉行とあるのは、云うまでもなく大久保長安のことである。

家康の挙用した人物中で、大久保長安は僧天海以上の怪物であったろう。彼はもと甲州の猿楽師で

のが分りますよ。初代津右衛門長女さだは明らかに大久保長安の妾の一人ですが、長安は、莫大な財産をイントクしてい

八王子

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、諸国の金山を支配し、佐渡金山奉行も兼ねた。八王子に三万石の領地をもらったが、諸国の金山銀山を支配している