言葉の魅力[第一稿] / 岸田国士
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来るが、これは、単語について云へば、関西と関東とで、大体あべこべと考へてよろしい。この習慣はなかなかなほらないもので、
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ことを知らねばならぬ。殊に、同じ東京でも、山の手と下町では、言葉の性質が違ふ。その上、東京弁は、東京
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を表はしてゐる言葉であつて、例へば、関西の人が東京弁を使つても、それは東京弁にはならないの
生じて来るが、これは、単語について云へば、関西と関東とで、大体あべこべと考へてよろしい。この習慣はなかなかなほらないもの
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必ずしも「人柄」を現はすものではなく、「東京のもの」か「地方のものか」といふ区別は、なんら「言葉
普通である。殊に、若い女学生の間などでは、「東京の流行語」がそのまゝお手本になるやうなことがある。
されるわけであるが、先づその標準として、「東京の言葉」なるものが、「地方の言葉」よりも重んぜられるのが普通
といふのは、地方の訛がぬけぬうちに、「東京の言葉」を強ひて使ふ可笑しさは、御本人にとんとわからぬ
東京は文化の中心であるといふ印象が、かういふ傾向を持ち来したの
」によつて、正しく、美しくすることに心掛けるがよろしい。東京の人達でも、教養のない人々の言葉は、決して、模範とする
、関西の人が東京弁を使つても、それは東京弁にはならないのである。
てゐる言葉であつて、例へば、関西の人が東京弁を使つても、それは東京弁にはならないのである。
、言葉の性質が違ふ。その上、東京弁は、東京乃至関東人の「気質」を表はしてゐる言葉であつて、例
と下町では、言葉の性質が違ふ。その上、東京弁は、東京乃至関東人の「気質」を表はしてゐる言葉で
混つてゐることを知らねばならぬ。殊に、同じ東京でも、山の手と下町では、言葉の性質が違ふ。その上、
二、東京弁なるものの中に、実は、東京の方言が沢山混つてゐることを知らねばならぬ。殊に、同じ
二、東京弁なるものの中に、実は、東京の方言が沢山混つてゐる
が、これは「文化は東京を中心とし、学問は東京弁に近い標準語を以て学ぶ」といふ単純な理由からであらう。が
。理屈に合はぬ話だが、これは「文化は東京を中心とし、学問は東京弁に近い標準語を以て学ぶ」といふ
ものではないが、習慣的に、他の地方、殊に東京では、耳障りになる。滑稽に聞える。それも「個人的」な話の
月並な挨拶や、個性のない表現に囚はれることである。東京の女には、非常にこれが多い。殊に、女学校を出て家庭を
五、東京の女学生は、同じ東京弁でも、やゝ変態的な言葉を好んで使ふ風がある。
五、東京の女学生は、同じ東京弁でも、やゝ変態的な言葉を好ん
、発音の訛はなくなつても、アクセントの誤りは、東京に三十年ゐてもそのまゝといふ人が随分多い。
「六ヶ敷い云ひ廻し」必ずしも教養を物語るものではない。東京弁、必ずしも文化的でなく、方言、必ずしも滑稽ではないのである