湯河原 油壺 伊豆 東京 湘南

場所は変哲もない湯河原の温泉宿の一室である。時刻は、ひと風呂浴びて、二人が浴衣に

若し、財政がゆるせば、一二泊でもいゝ。例の湯河原にでも、ゴンを連れて出掛けてみちやどうだ？」

当てにしてゐた湯河原の宿は満員であつた。途方にくれた教授親子を、宿の番頭は

みよう、伊豆へ……。あゝ、それより、三浦半島の油壺はどうだ。有名な水族館のあるところだ」

「正月にこんなところへ来るんぢやなかつた。伊豆へ行つてみよう、伊豆へ……。あゝ、それより、三浦半島の油壺は

こんなところへ来るんぢやなかつた。伊豆へ行つてみよう、伊豆へ……。あゝ、それより、三浦半島の油壺はどうだ。有名な水族館

両親を早く失ひ、兄と妹とが郷里にゐるほか、東京には身寄りといふものはなく、下宿から下宿を渡り歩く殺風景な独身生活を

、奥山一家の旅立ちは、半日遅れてしまつたが、湘南電車の乗心地は決してわるくなかつた。