泉 / 岸田国士
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。まだ出来たてのホヤホヤつていふ博物館でね。ところは和歌山県の白浜つていふ海岸だ。ほら、神島のそばだよ、『はかまかづら』
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やつてた。この人が元禄四年だつたかな、江戸へ出て、その……」
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そこから上は水がまつたく涸れてゐる温川の谷伝ひに、径らしい径もない熊笹の生ひ茂つた斜面を、
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「お勤先が横浜だとずゐぶん往復に時間をおとられになるわね」
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あれば、と、煽られるやうに、彼はその足で本郷の素子の家へ出かけて行つた。
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毎週金曜は、高杉館長が和歌山市のある専門学校へ講義に出かける日である。館長は、二里近くの道を
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てもらつたら、今週はもうそれでよろしい。わしはちよつと関西へ行つて、来週早々帰つて来ます。正式には来週からといふことに
高野専務は、大阪をはじめ関西各地の事業関係者に素子を社員として紹介しておいたことが、もう
「実はあたくし、せんだつて専務のお供をして関西へ参りましたとき、お暇をいただいて郷里へ寄つて参りましたの。
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「草津の五万分ノ一、持つて来てないか?」
「草津は持つて来てゐませんが……。何処をごらんになるんですか
「草津を見たいんだよ。まあいゝや。そこへ斎木君が来とるね。
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工場を建てにやならんつていふ場合なら、わしどもは、満洲へでも何処へでも行く。だけんど、東京の安月給取が、避暑
だね、そのパラグアイとかへ出かけるかはりに、ひとつ満洲へ乗出して、新規な商売をはじめてみる気はないかね? これは
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な勧誘を受けた。それは彼女が若し望むならば、田沢の会社で適当な地位を与へるか、或は、彼のプライヴエイトの秘書にし
ビルデイングの表口で傘をひろげようとすると、田沢の運転手が走つて来て、彼女を車の方へ案内した。
多少は酔ひがまはつてゐるらしくはあるけれども、田沢のこの縷々として尽きない言葉のうちに、妙に自信たつぷりなもの
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「あたくし、小石川の方ですの。町子さんは四谷ね」
「あら、でも、麹町なら、四谷の途中ですわ。いゝわねえ、町子さん、お連れがあつて……」
「四谷はどの辺ですか?」
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「歩くとやつぱり暑いね。湿気の工合やなんか、大ぶん軽井沢とも違ふが、避暑といふ点では、どうかね、もうひとつ
た。二度目の時は、あそこから峠を越えて、軽井沢の方を廻つて来ましたよ。もう木の葉がすつかり落ちて、満目蕭条
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高崎から北西へ北西へと烏川の渓谷を深くはひつて行くと、所謂「浅間
、今、電報が来たわ。伯爵は明日三時に高崎へお着きになるの。あたし、お迎ひに行くけれど、二人お客さまをお
中ノ条まで出て、高崎へ電話をかけると、二頭以上なら向うから狸を受取りに来る手配がつい
茂木の番頭が粕谷主任と一緒にはひつて来て、高崎から、今、霊柩車と乗用車二台がこつちへ向つたといふ事務所への電話
「上州つて申しますと、高崎からずつと奥へはひりましたところに、泰平郷とかなんとかいふ近頃
は汽車へ乗せてしまへばいゝんだね。あとは、高崎まで現地から人を出しとけばすむんだから……」
高崎へ近づくにつれて、彼女の頭は、向うへ着いてからの仕事でもう
は敷かないでおいてください。十一時の汽車で、ちよつと高崎へ行つてきますから……」
高崎に着いたのは真夜中であつた。
「珍しいでせう? 高崎から夜行軍ですよ。朝飯を食はしてください」
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へ出掛けるが、遅くも昼すぎまでには片づくつもりだから、鎌倉あたりでゆつくり話をしたい。今頃は海浜ホテルも暇だらうし、そこには
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「いえ、別に用はないんだけど、大阪まで来た序に故郷へ寄つてみる気になつたの。……昨日は
失敬、君にそんなことがあつたと云ふんぢやない。大阪からすぐ和歌山方面へ視察に出したことは聞いとるよ。帰りの汽車も別々
高野専務は、大阪をはじめ関西各地の事業関係者に素子を社員として紹介しておいたこと
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「あたくし、小石川の方ですの。町子さんは四谷ね」
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「さういふわけで、幾島家といふのは、関東ではもういく軒も残つちやゐまい。本家の断絶が、今云つた
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「なんでせう? また浅間の爆発かしら?」
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のは中華民国留学生、張某と正式に結婚して現に香港で豪奢な生活を送り、三番目の由良子は、新潟在の大地主の長男
「あゝ、香港にいらつしやる……」
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――それには、いつか折をみて、館長に熊野への旅行をねだつてみよう。――さういふ空想に耽りながら、彼は
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へと烏川の渓谷を深くはひつて行くと、所謂「浅間高原」へぬける峠の一つが、白雲の下に明るい山肌を見せてゐる。
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それよりも、大学にはひつて間もない頃、小石川の植物園で、はじめて、万葉などに歌はれてゐる「浜木綿」すなはち、「は
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だか知らないけど……。あの女の姉さんで、新潟の田舎へ嫁づいてるひとないかどうか、序に訊いといてよ。
「その新潟へ嫁づいた姉さんていふのが、つまり、君のクラスメートで、その
現に香港で豪奢な生活を送り、三番目の由良子は、新潟在の大地主の長男で、××大出身法学士の細君で悠々と
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現ニ首都巴里ノ労働者ニシテ「ブルタアニユ」ヤ「ノルマンデイイ」ノ到ル処ニコノ「田舎ノ家
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「あたし、また学校勤めをするわ。岐阜の家政女学校だけれど、行かないかつていふ話があるの。どうかしら?」
「岐阜つて、知つてる? ほら、名和昆虫研究所のあるところさ。甲斐先生
いよいよ話がきまつて、岐阜へ行くことになつたわ。この前の盛岡とは違つて、校長
「岐阜ですの。お手紙に××実科女学校つてございましたわ」
「岐阜か、ずゐぶん遠くから来るんだなあ。幾日のコースか知らないけれども
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まつて、岐阜へ行くことになつたわ。この前の盛岡とは違つて、校長も理想高き新人とのこと、女学校理科教授に
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を完成してみたまへ。地方つて云つたつて、京都も近いしさ、われわれも大いに声援するからどうだ、頑張つてみ
て変つたところはどうかと思ふんだ。実は京都からこつちへ廻つて来た口なんだが、どうも君以外に
たけれども、さうらしくもない様子がだんだんわかり、田沢から京都料理の講釈等聞いてゐるうちに、すつかり寛いだ気持になつた。箸
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にそんなことがあつたと云ふんぢやない。大阪からすぐ和歌山方面へ視察に出したことは聞いとるよ。帰りの汽車も別々だつ
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僕なんかは女房を問題にしとらん。十年この方宇都宮においとるが、一年に一度か二度、ちよつと顔をみせるだけだ
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「伯爵は昨日急用がおできになつて、東京へお帰りになつたわ。えゝ、とてもお元気……。去年はあなた
第一期建設計画に属する十年月賦土地附家屋で、東京某製粉会社の社員、船山貞一氏の所有にかゝるものだが、爾来五
自分の仕事がわかりかけて来たやうに思ひますの。東京のお邸ですと、時間がきまつてをりますし、それに、すべて
よ。ほんとに、此処にかうしてゐれば、僕なんか東京へ帰ることを忘れちまひさうですからね」
それやいろいろあるだがね、例へば、娘つ子で東京へ奉公に出たがるもんがふえたし、青年の離村者もこの二三年
「夜のない都会か。……さう云へば、僕なんか東京にゐてさへ、夜街へ出るつてことは殆どありませんからね。
「東京で?」
わけだが、今日午後前触れもなくやつて来て、今度東京にも家を持つたから、披露かたがた、なんでもかんでも夕食を
も、万といふ現金を掻き集め、西も東もわからぬ東京の真ん中へ、「娘たちのために」飛び出して来たのである。
見ると、「東京科学博物館」といふ標札がかゝつてゐた。
。ゆんべは正式の布令を廻したんぢやあんめえ。東京から喬さを訪ねて幾島つていふひとが来ただよ。この前
「おらも話を聞きに来ただ。東京の衆はこれぢや寒くてどうもなるめえ」
は、満洲へでも何処へでも行く。だけんど、東京の安月給取が、避暑の真似事をするために、われわれに小さくなつとれ
「東京へ出たいとは思はない?」
「東京つて、あなたがたはどういふところだと思つてるかなあ。いろんな想像をし
ゐるのがいやになつたらうな。明日になつたら、もう東京へ帰るつて云ひ出すんだらう? よし、それはしかたがない!
しかし、発喪は東京の本邸でといふ習はしに従ひ、伯爵の遺骸はこれら近親の
東京の本邸から来た女中と、土地の手伝ひの女たちが、もう朝
「では、いづれ東京でお目にかゝりますわ。あなたには、いろいろ聴いていただきたいことも
「さうかも知れないわ。東京にゐるときよりも、こつちへ来てるときの方が、あたくし、ずつと元気
といふ名義以外にないが、それだと、彼は大体東京の本社には一週二度ぐらゐしか顔を出さないから、その時だけ
は僕、これで帰りますから……。十日前後に東京を発つつもりです。またお目にかゝれるかどうか……これ
「だつて、これから東京へお帰りになるんでせう? ご一緒ぢやいけない?」
わざわざ東京の本社を訪れ、専務に会つて直接談判までして来た小峯等は
に壁にかけてあるヴアン・ドンゲンの複写のほかは、東京へ持つて帰りたいと思ふものはなかつた。
、遠くへ行つておしまひになつたからよ。今、東京にはいらつしやらないの。あの方にはちやんとご自分のお仕事があるん
。新京に君の気に入つた家を一軒建てよう。東京へ遊びに来たければ、飛行機でその日に来られるからね。無条件で
先づ一人が始めなければならないのです。この夏はちよつと東京へ帰りますが、お訪ねするかも知れません。ご機嫌よう。お母さんに
真実にふれた意味をもつて来た。彼女は、今度東京へ帰つたら、日本を離れる前に必ず伯爵のお墓詣りをしようと思つた
幾島は東京へ帰つて何を
一週間の休暇をもらつて、幾島は東京へ帰つて来た。両親に新しい勤め先のことを詳しく話して安心させ
「休暇で東京へ帰つて来るなんて、ちよつと間が抜けてんね」
せう。だから、僕の場合は、それが反対に東京に家があるんだから、ちよつと勝手が違つてへんだらうといふ意味な
もはひつて、宵の鋪道は彼には住み馴れた東京の魅力であつた。
させられたもんだからね。その時代のもんは、東京にもさういくつも残つとらんよ」
「暑いとは贅沢だな、え、東京がそんなに暑いか?」
思つただけです。どうでせう、昔と今と、東京はどつちが暑いですか? 僕は、子供の時分から比べると、
「東京がといふわけぢやないんですよ。たゞ、山のことを考へたら、
ないや。とにかくお葬式に間に合ふやうにあなたは東京へ帰るでせう?」
「えゝ真剣だかどうだか、とにかく、この春東京で委員の二三人が集まつて、そのことを話題にはしたらしい
おいでになりましたが、こんなのは、私でさへ東京の宅の近所でなら、なんとも思はんのであります。しかしながら
思はれるやうなのが実際にあることは否めません。東京と違ひまして、こゝでは一層それが眼につくのであります。
なんか別に都会人でもないが、たゞ田舎ぢや食へんから東京に出とるだけです。自分ぢやどつちの贔屓をするつもりもなくつてです
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出入してるの? あの大将は愉快だね。去年、上野からずつと一緒でね。相当の年らしいが、いふことはなかなか元気だよ
私この土曜日の午後、上野へ絵を見に参る予定でございますが、若しそれに興味がおあり
「あなたは上野にかういふものがあるのご存じですか」
ことがあるのよ。去年、あなたからお手紙いただいて、上野でお会ひしたでせう。あん時、お話のあつた候補者つて
さて、翌日は、先づ大沼博士を訪ね、それから上野の科学博物館へ寄つて仕事の上の打合せをし、昼は銀座でトンカツ
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それには目黒の方へ出なければならぬので、しばらく電車を待つてゐると、
表通りへ出ると、彼は、目黒行きのバスに飛び乗つた。
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「すると僕は、その恰度真ん中ですね、麹町ですから……」
「あら、でも、麹町なら、四谷の途中ですわ。いゝわねえ、町子さん、お連れがあつ
安藤弥生が麹町下六番町の幾島の家を訪ねたのは、粉雪まじりの雨の
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「えゝ信濃町、ごぞんじでございませう、あのすぐそば……」
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その翌日、彼は、予定どほり内幸町大阪ビルの文華土地株式会社を訪れ、社長田沢に面会を求めた。
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ゐますからね。それより、今度区画割のできた杉並大宮前の土地をちよつと見て来て下さい。専務の御命名で「東光台」
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彼女はその足で新宿行のバスに乗つた。大里町子に会つて事の次第を語り
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科学博物館へ寄つて仕事の上の打合せをし、昼は銀座でトンカツを食ひ、夕刻近く、麻布の安藤の家へ出掛けて行つた。
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へ出る道を訊いて、庭伝ひに松原を抜け、稲村ヶ崎の、あれがさうかと思ふやうな形の変りやうに驚いた。山