宝塚 比叡 満洲 大阪 九州 寂光院 関西 東京 浅草 隅田川

ものである。楠本にも年頃の娘があるさうで、宝塚のことだの、西洋映画のことだの、変にくわしく知つてゐる。

「どうでんね。ちかいうち、いちど宝塚の方へ、お供せんならんと思ふてんのやが」と言ふ。楠本は

た。孫の波子を愛し、波子のために面白くもない宝塚へ屡々つきあつてくれて、後に、甚だファンになつたが、その祖母が

いふのに、伝蔵は無理な風流が好きなのだ。比叡の山々は、たれこめた雲にかくれて、半分も見えなかつた。

言ふのである。南支で人魚を食つてきた話、満洲で狼と戦つた話、壮大な話に伝蔵を煙に巻いて、悠々と

伝蔵のお供で、母と三人、京大阪から中国九州まで食べ歩いたとき、波子は家族といふものに就て、この人生の

伝蔵のお供で、母と三人、京大阪から中国九州まで食べ歩いたとき、波子は家族といふものに就て、この人生の、いや、

大原の寂光院へ行つたとき、それは四月の始めであつたが、もう祇園では

供せんならんと思ふてんのやが」と言ふ。楠本は関西の生れである。「格子なき牢獄は、どうや。あれは、伴奏が、

の訣別になつたけれども、突然、一家三人で、関西へ食道楽の旅にでた。

、先祖代々の財産をどうやら土俵際で持ちこたへて東京へ亡命してくる連中で、そのほかに、院外団のやうなのや、

「その話は、東京で、お母さんと、三人で、きめよう」

明日は、東京へ、帰らう、と、思ふ。切支丹の娘達が殉教したといふ島

浅草へでゝ、知らない雑踏にまぎれる。人波につきあたり、人波をくゞりぬける。

まゝ、女中の下駄をつゝかけて、裏口からでゝ、隅田川へ、ボート競走を見物に行つた。