軽井沢 草津 浅間 浅間山 小諸 東京 銀座

いよいよ温泉が出るつていふことになれや、これこそ、軽井沢と草津とを一と所に集めたやうなもんでせう。

時田　　軽井沢はとにかく、草津の湯つてものは、さう何処からでも出るもんぢやなし

を見ると、わしは気が気ぢやない。たまには、軽井沢の町へでも遊びに行つて来るといゝ。

が出るつていふことになれや、これこそ、軽井沢と草津とを一と所に集めたやうなもんでせう。

時田　　軽井沢はとにかく、草津の湯つてものは、さう何処からでも出るもんぢやなしね。

、困るのは、いろいろ逆宣伝をする奴がゐることです。浅間の爆発なんて、新聞も大袈裟に書きますからね。

斜面の稜線から浅間の頂がのぞいてゐる。

正面に二つの窓。遠く、浅間の全容。窓ぎはに製図用卓子。

新井　　そのうちに浅間へ登るんだつてことは、前からも聞いてたし、そいつばかりは気

浅間山の麓

それやさうさ。待つてる人だつてあらうさ。小諸のおとねさんつて云や、わしや、子供の時から名前を聞かされて

やうな、俗つぽい、だらしのない関係だ。あれは小諸で芸者をしてゐた女だ。いろいろ苦労をした揚句、商売を

とね　　あたしも、ことによると、小諸へ帰るわ。

亭主に死なれても、存外平気なもんだね。たゞ東京へだけは、もう一度出てみたいつて云つてるよ。どうにも

の夏は、あの上の方に、ずつと別荘が建つ。東京の銀座とまでは行くまいが……。自動車も二三台は置くつもりだ

ば、わしらも、夏だけ此処にゐて、あとは東京でなりなんなり暮せるわけだ。見といで、お前にも好きなやうな

ゐると、水が跳ねますよ。（間）あたしや、東京つていへば四ツ谷しきや知らないんだけど、あつちへいらしつたことあつ

則子　　それから、大急ぎで、東京にゐる友達に頼んで、会社の方を調べてもらつたの――

しないわ。あたしが止めるのも聴かず、独りでのこのこ東京へ出掛けてつたものよ。会つてからの云ひ草が図々しいぢやないの。

州太　　何が悲しいんだか、早く云つて御覧。東京から便りでもないのか。

二葉　　まさか……。あたし、一度、東京へ行つて来たいの、そのことで……。

新井　　東京にゐればさうなるでせう。郵便局の出戻りさんだつて、実に、

それから、二葉さんは、二三日うちに、また東京へ出ることになつてるのよ。

州太　　東京にゐたつて、何時地震で潰されるか知れない、それとおんなじさ

もお前に云つておくが、山を降りたら、まつすぐに東京へ帰りなさい。決して、あのおとねのゐる家へ足を向けるんぢや

は、あの上の方に、ずつと別荘が建つ。東京の銀座とまでは行くまいが……。自動車も二三台は置くつもりだ。