パリ マルセイユ ベルリン ミュンヘン 横浜 カルチエ・ラタン 神戸 東京 東京湾

石畳の上をすべつてゆく。大戦後間もなく、パリは街燈が消えたままだ。

僕は、その言葉を聞き流して、ベンチを離れた。パリには、到るところ、かういふ手合がゐて、東洋の君子に目をつけ

最初船の中で僕に話しかけたのは、パリで医学を修めたといふＣ君である。

次は、フランスの女を連れてゐるＬ君、これはパリで支那料理の店をだしてゐる人である。

僕はマルセイユから、フランスＭＭ会社の汽船ポルトスに乗つた。

そして、僕はベルリンで一流のレストランを経営してゐるといふユダヤ人Ｋ氏から、ベルリンに於ける

一流のレストランを経営してゐるといふユダヤ人Ｋ氏から、ベルリンに於ける日本留学生の金使ひについて聞かされてゐるのだ。

たか、それも序に調べられたらと、ある日、ミュンヘンの日本名誉領事館を訪ねた。

一人のロシヤ婦人――それは、横浜に二年間ゐたといふ女――は日本人のすべてが柔道を心得てをり

そこは、カルチエ・ラタンの一隅、パストゥウルの並木道だ。マロニヱの落葉が、十月の風に舞ひ

は、一乗客たる某国侯爵家の要求を容れて、神戸入港の時間をわざわざ三時間遅らした――といふ噂が船内に伝は

「日本の東京だよ」

ヒリツピンと日本本国との連絡を遮断して、米国艦隊の東京湾攻撃を容易ならしむべきこと、等々、彼は流暢な英語でまくしたて、僕