安吾人生案内 03 その三 精神病診断書 / 坂口安吾
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ぴったりあっているのです。驚いた私は夫の兄(横須賀市浦郷五二二山口万福)のところへかけつけると義兄も『弟らしい』と新聞を見
ていましたが十一月に長女が生まれ私の実家(横須賀市)で一緒に暮していました。今年の一月『職を探して来る
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は何をしていたのでしょうか。アミタール反応では横浜の進駐軍につとめていたといゝますが依然空白です。またどうして記憶
に行くべく北鎌倉を出ました。途中桜木町に買物があり横浜で乗換える時、わたくしはそれまで抱いていた恵里ちゃんを良人に渡し、わたくし
して、じぶんで自動車を雇って来ました。それで横浜まで送って戴きました。横浜駅で、傷の痛みに坐りこんだわたくしを二人の
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ところでした。夫は山口袈裟寿といゝ廿五歳、神田の市立工業を出て横須賀の航空技術所を出て海軍に入って
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忘却の彼方に消え自分の名も住所も年も忘れて銀座をさまよっていたのでした。それから井ノ頭病院の精神科へ送られ先生
たではありませんか。記事によると同月十四日銀座西八丁目の濠ばたで浮浪者がたき火を囲んでいると飄然と現われた廿
で東京へ送ってあげるから、とはヒドイ奴ですね。銀座でその新聞記者めに出会ったら、すれちがう紳士からライターをかり、奴めの
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? 違うなア』行方不明になって以来三ヶ月ぶりでやっと三鷹町井ノ頭病院の一室に尋ねあてた夫は取り縋ろうとする私をはね返すように冷く
まったく、ひどい事件でしたね。三鷹事件の時もやりきれなかった。電車の下に人がひき倒されている
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書生時代の上京しつつある状態にさかのぼって、東京へ、東京へと上京しつつある気持になっているような例も多いそうだ。
年前の書生時代の上京しつつある状態にさかのぼって、東京へ、東京へと上京しつつある気持になっているような例も多い
粗雑さにあきれていました。新聞社の人が自動車で東京まで送るからと寄って来て、いろ/\ときゝだすと、そのまゝ
しかし、話をきかせて下さい、自動車で東京へ送ってあげるから、とはヒドイ奴ですね。銀座でその新聞記者め
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わたくしと良人と恵里ちゃん(当歳の赤ちゃん)とは、京橋のわたしの実家に行くべく北鎌倉を出ました。途中桜木町に買物があり