パリ マルセイユ 九州 北海道 金沢 神戸 東京

ゐたかわからぬ。時折の便りには、呑気さうにパリの貧乏生活を吹聴してよこした。それにしても、画のことなど

フランスのどこ、お国は？――おお、お国はパリさ。もつとも、おやぢのおやぢはノルマンディイの産だ。――へえ、ノルマンディイ？

つちまはうか。アメリカの兵隊の後を追つかけて、パリまで行つちまつたのよ。すぐ連れ戻されたけれどさ。

はなく、ただぶらりと神戸から貨物船に乗り込み、そのまま、マルセイユでぶらりと船を降りたのである。

の市を君は知つてるかどうか。おれは、マルセイユ以外のさういふ場所をあんまり知らんので、その男の後をくつついて

は、たつた今、船から上つたんですが、マルセイユから直航して来た東洋向けのフランス船です。桟橋からここまでの道を

を三度もかへたといふし、小学校へあがるまで北海道から九州へかけて県庁所在地を転々とし、中学は一年二年を山口、三

すでにすまいを三度もかへたといふし、小学校へあがるまで北海道から九州へかけて県庁所在地を転々とし、中学は一年二年を山口

とし、中学は一年二年を山口、三年を金沢、四年に台北へ移つて、そこでやつと五年を終へた

旅費など満足に持つてゐやう筈はなく、ただぶらりと神戸から貨物船に乗り込み、そのまま、マルセイユでぶらりと船を降りたのである

家からの仕送りもろくにないのに、それでも東京へ出て二、三年あちこちの画塾へ通ひ、それも面倒になつ