御花畑 箱根 筑波 葛生町 下野 日本アルプス 前橋 上野 東京 館林 伊勢崎

の千鳥返しといふ難所のあるあたりの眺望、太郎山の御花畑、金田峠の上から見た連山の起伏などが深く私に印象されて

、近頃では軌道が出來た。まご／＼すると、箱根もその繁華の半を此處に奪はれるやうにならぬとも限らない。

通る時によく見るが、それが絶海の孤島のやうな筑波の翠微と相對して、いかにもひろ／″＼とした眺めを成して

の谷を深く溯つて行くやうな位置で、石灰が出る葛生町があつたり、麻の緑葉の人肩を沒するやうな山畠があつたりした。

渡つて、安蘇山、都賀山の裾を掠めて、そして下野の室の八島の方へと出て行つたのであつた。僧道鏡

附近に殘つてゐるのを見ても、上野の國府から下野の國府へとの路の榮えたさまが想像された。萬葉集にある

この山と岩舟、唐澤の山巒の間を通つてずつと下野の國府へと出て行つてゐた。

波濤の如く起伏した連山に雲の湧き立つたさまは、日本アルプスの深い山の中でも澤山はないやうな大きな眺望であつた。

に越したことはなかつた、其時分の驛遞路は、前橋附近から伊勢崎、境に出て、太田から往昔の佐野の渡しのあつた

好い。嵐氣の深いのが好い。歌ヶ濱から、上野島から、乃至は合潟の岸から見た男體は、殊にその形

の今日猶その附近に殘つてゐるのを見ても、上野の國府から下野の國府へとの路の榮えたさまが想像され

なくぼんやりと濡れてかがやいてゐるのを前にして、東京生れの妓が靜かに爪彈か何かで三味線を彈いてゐるさまなど

ゐる三毳山の形が面白い。それは東武線の汽車の館林、佐野間を通る時によく見るが、それが絶海の孤島のやうな筑波

ことはなかつた、其時分の驛遞路は、前橋附近から伊勢崎、境に出て、太田から往昔の佐野の渡しのあつた渡良瀬川を