百日紅 / 田山花袋 田山録弥
地名一覧
熊谷
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汽車で来たのではないと婢は言つた。熊谷から妻沼を通つて、利根を渡つて、松原や灌木の林の中を
秩父
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も並んで川にかけてある。それを隔てて遠くに秩父の山が見える。川に臨んで構へた小さい亭……ボテの中に綺麗
荒川
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荒川のだといふ……大きな生の好い鮎の塩焼。
『思出すよ。荒川に行つた時を。』
『行つたことがあるのかえ? 荒川に?』
ともね……料理店などでも、玉川のよりも却つて荒川のを珍重するツていふことだ。』
金山
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その冬の休暇に、五里の路を私と二人で金山へと訪ねて来たのであつた。兄は其時弓の折れたの
武蔵野
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笠懸野を出て、利根川を渡つて、勢猛に武蔵野に出て行つたさまは、今からでも十分に想像することが出来るで
玉川
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『それは入るともね……料理店などでも、玉川のよりも却つて荒川のを珍重するツていふことだ。』
筑後
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。そんなに豪いツていふ人物でもなかつたんだらう……筑後で自殺したのも、何方かと言へば、センチメンタリズムに止るからねえ。』
東京
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さ! 彼方をやめて帰つて来る時には、是非東京に帰つたら呼寄せるなんて、女を誑して帰つて来たんだが――
た。兄は其時二十三四で二三年前から東京に修業に出て居たが、久し振で帰省したその冬の休暇
かつた。伯父はその一二年前に田地を売つて東京に出て行つて了つた。で、私と兄とは祖母の墓
『さうだツてね……荒川の鮎も今では東京に随分入るやうになつたらうねえ。』