大阪 大丸 丸の内 牛込 万世橋 赤坂 江戸 丸善 芝公園 下谷 奈良 深川 日本橋 東京 浅草橋 銀座 浅草 人形町 千住 上野 京橋

いないのかえ？　どこに行ったんだね。大阪へ？　それじゃやっぱり向うにいい人がいたわけだね』こんな言葉が

方へ行く路の角には、それよりももっと大きいあの大丸の店があって、そこでも、そのオウイ、オウイをやっていたの

私は丸の内のさびしかったことを思い起す。乳の形をしたカンのついた大きな門や

右に入って行ったところにあった。私はその頃牛込に住んでいたが、いつも九段を通って、丸の内をぬけて、その

いわゆる煉瓦町であったが、京橋から日本橋、目鏡橋（万世橋）にかけては、ほとんど洋館という洋館はなかった。ただずっとこちらに来

深川で生れて、下谷の三筋町で育って、それから赤坂へと行った話などを段々そこに持ち出した。やっぱり橋や建物の上に

が半分以上変って行ってしまっているではないか。江戸の真中の人達というよりも、山の手の旦那や細君が主なる得意客に

一面はその神秘を讃嘆するように書いてあったが、江戸の大都会だって、やっぱりそうだったんだからね』

な形になっているが、この十軒店あたりに残っている江戸の人達には、新しさに触れる機会が多いせいか、どこか生々し

は愉快だ。私達はどうかするとそこいらで昔の江戸の粋と今の東京の艶麗さとをひとつに混ぜたような美しい人

ような美しい人に出会すことが出来た。またいかにも新しい江戸という感じを持った家庭をもそこに見出すことが出来た。その意味

、菓子がうまいばかりではなく、あのあたりには昔の江戸の空気が依然として巴渦を巻いているのがなつかしい。それからあの

そこらを歩いている女たちにも、何処か昔の江戸らしい粋なところがあって、何となく濃かな空気の渦を巻いている

の届いて来ているのを本町の勤めている所から丸善へと取りに行ったものだった。あの頃はまだ橋が今の鉄橋に

たりつまらなくなったりすると、わざ／＼遠く上野とか芝公園とかいうあたりまで出かけて行かなければならなかったものだが、今で

目に立って残った。かの女は深川で生れて、下谷の三筋町で育って、それから赤坂へと行った話などを段々そこ

いうような風である。だから何うなるかわからない。奈良の都のあとが今日は麦畑になっているように、あの日本橋や三越

感傷的なところだけが目に立って残った。かの女は深川で生れて、下谷の三筋町で育って、それから赤坂へと行った

日本橋附近

日本橋附近は変ってしまったものだ。もはやあのあたりには昔のさまは見出せ

私は、今から四十五、六年前の日本橋をここに描いて見ようと思う。丁度私が生れて九年十ヶ月と

走って行くという有様だった。それにしてもあの日本橋から少しこっちに来た右側に――今の黒江屋か塩瀬あたりのところ

私は何んな日でも京橋と日本橋とを渡らない日はなかったことを思い起した。私は重い本をしょっ

日本橋から浅草の方へ行くのには、今は本石町が主路になっ

、銀座は新式のいわゆる煉瓦町であったが、京橋から日本橋、目鏡橋（万世橋）にかけては、ほとんど洋館という洋館はなかった

ているのを思い出したが、実際、その時分には、日本橋の橋畔あたりの賑いもそれと少しも違うところはなかったのである。

に立尽していたことを想い起す。しかし江戸時代には、日本橋の畔も、決してそうした無秩序ではなかったのであろう。もっと整理

通ったことを思い出した。私は南伝馬町から一町ほど日本橋の方へと歩いて来て、すぐ左に入って、それからその路地

私は日本橋を渡りながら、いつも蒲原有明の詩を頭に浮べた。

日本橋附近という題目からはやや遠くなるけれども、あの眼鏡橋（万世橋）あたりの

そこから通三丁目の丸善へと行くために、よくその日本橋を渡って行ったことを思い起した。それは私に取っては忘れられ

不思議に思われた。そういう形からいっても、その日本橋の大通りは私に深い縁故を持っているものといって差支なかった。

食物店を食って歩いたりする方ではない。従って日本橋界わいあたりの細かいことは知らない。鮨だとか、天ぷらだとか、

都のあとが今日は麦畑になっているように、あの日本橋や三越あたりのにぎやかな繁華なところがいつの間にか再びもとの野原

立留ったり、ショウウインドウの灯の前に足をとどめたり、日本橋の橋の欄干のところで長い間立尽していたりした。私は静か

！）といわぬばかりに突き飛ばされた。従って魚河岸は東京でも一番活発なところ、また一番わかりにくいところとして常にその頃

どうかするとそこいらで昔の江戸の粋と今の東京の艶麗さとをひとつに混ぜたような美しい人に出会すことが出来

書き残して置きたい。そこは明治の初年の錦絵にも新東京の名所のひとつになっていてあの眼鏡のような丸い空間を二

て、越後信濃上野あたりから来る人達は、皆そこを東京の内部の門戸として続々として入って来たものであった

文学書生がその町の書店にならんでいる雑誌や本から東京の中央文壇をのぞいて見るよりももっと／＼たよりないものであったに相違

あった。これは越後屋ばかりではない、あの本町通を浅草橋の方へ行く路の角には、それよりももっと大きいあの大丸の店

。家並が大抵土蔵造りだったので、京橋の向うの銀座の新しい煉瓦の街に比べてわるく陰気な大通。その中をあのラッパを

その時分では、銀座は新式のいわゆる煉瓦町であったが、京橋から日本橋、目鏡橋（万世橋

日本橋から浅草の方へ行くのには、今は本石町が主路になっている

とかいうものがかけられてあったので――否浅草あたりのそういう錦絵の店には、春画に近いものまでもかけつらねてあっ

の通りのところまで通じていた。私は江戸橋から人形町の方へと行く時には、いつもその路地を抜けて行くのを例

面白いものといって好かった。かつてずっと前にその稲荷ずしと千住の大橋の袂にあった稲荷ずしとの優劣を論じたことなどもあった

が何台となく並べられてあったりして、越後信濃上野あたりから来る人達は、皆そこを東京の内部の門戸として続々

こっちに渡って来たところにきたない共同便所があって、上野あたりに出かけて行く時には、私もよくそこで用を足したこと

、退屈したりつまらなくなったりすると、わざ／＼遠く上野とか芝公園とかいうあたりまで出かけて行かなければならなかったものだ

年の春から秋にかけてである。私はその頃京橋の南伝馬町の有隣堂という農業の書などを主として出版する

揚げるという都会。家並が大抵土蔵造りだったので、京橋の向うの銀座の新しい煉瓦の街に比べてわるく陰気な大通。その中

私は何んな日でも京橋と日本橋とを渡らない日はなかったことを思い起した。私は重い本

では、銀座は新式のいわゆる煉瓦町であったが、京橋から日本橋、目鏡橋（万世橋）にかけては、ほとんど洋館という洋館は

ところだった。鏡花君がひどく酔って仙女香のところから京橋あたりを一晩中彷徨して夜を明かした話などを私はまたし

京橋を渡ってからは、私はきまって左側を歩いた。