ある死、次の死 / 佐佐木茂索
地名一覧
箱根
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あと形づけをして、帰りに母親と末妹を連れて箱根へ寄り、そこで或日、西の風が註文通りに吹く時、山の
話した。悲傷してゐる母親と末妹とは、暫く箱根に置くことにして来たのださうであつた。――
名古屋
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「綾子姉さんは、やはりあす名古屋へ帰るのかなア。」と云ひ乍ら、茶の間へやつて来たので、
翌日、電報に驚かされた孝一郎の兄が、名古屋の熱田から上京して来た。
「名古屋で、また逢ひませう。」と隆治は孝一郎の兄に云つた。熱田で
隆治は名古屋へ帰り著くと、商業学校長としての事務が山積してゐた。
「いゝさ。いゝよそんな事。――名古屋まで遊びに来たらキスしてあげるて書いてやつたのだらう?……
東京
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て、告別式の翌日、皆が骨あげに出かける前に、東京を立つ事にした。
東京へは一寸行けさうもなかつたし、遺稿の整理も当分手が著けられ
してしまつた事を隆治に細かく話してきかせた。東京の家は、もと/\故人の為めに今まで構えてあつたのだから
そのうち或夕方、東京から帰つて来たといふ孝一郎の兄の訪問を受けた。兄は半月
――東京から帰つて以来、げつそりと弱り入つたやうな妻の姿を見ると