初冬の日記から / 寺田寅彦
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恋心にささやかな漣を立てる。バーからひびくレコード音楽は遠いパリの夜の巷を流れる西洋新内らしい。すべてが一九三三年向きである。
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附近をぶらぶら歩いているうちに、ふと昨日人から聞いた明治座の喜劇の話を想い出してちょっと行って覗いてみる気になった。まだ少し
呼び返され、それからバスの中の女優の膝の菓子折、明治座の廊下の飾り物の石鹸、電話の「猫のオルガン」から、もう一度「与太者
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同じように、研究所の講演会のすんだあとの数日は東京市の地と空とが妙にいつもより美しく見えるようである。ことに今年
心持で走っていると、これが自分の現在住んでいる東京の中とは思えなくなって、どこかまるで知らぬ異郷の夜の街
部分がいくらかはあると見える。新聞ばかり見ていると東京も日本も骨髄まで腐れているかと思うこともあるが、そうでも
。これらの記事がもし半分でも事実とすると、東京市の公共機関の内部には、ゆるみきりにゆるんでしまって、そうして
、そこには、教育界の腐敗、校長の涜職事件や東京市会と某会社をめぐる疑獄に関する記事とが満載されている。これ
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浜町行のバスを待受けた。何台目かに来た浜町行に乗込んだら幸いに車内は三、四人くらいしか乗客はなくてこの頃
劇場の中をぶらぶらするのも大した相違はないと思って浜町行のバスを待受けた。何台目かに来た浜町行に乗込んだら
浜町近くなる頃には他の乗客はもうみんな下りてしまって、その少女と
銀座を追われた靴磨き両人に腹を減らさせて浜町公園のベンチへ導く。そこに見物には分かっているが靴磨き二人には
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覗いてみる気になった。まだ少し時間は早かったが日本橋通りをぶらぶらするのも劇場の中をぶらぶらするのも大した相違はないと
ほど自由な解放された心持になって、あてもなく日本橋の附近をぶらぶら歩いているうちに、ふと昨日人から聞いた明治座の喜劇
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二、三年前Sと大久保余丁町の友人Mを尋ねての帰りに電車通りへ出ると、そこの路地
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そんなことを考えているうちに人形町辺の停留場へ来るとストップの自働信号でバスはしばらく停車した。安全地帯
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幕があくと舞台は銀座街頭の場面だそうで、とあるバーの前に似顔絵かきと靴磨き二人と夕刊
て若い方の靴磨きにいきなり甲高なコケトリーを浴びせかける。本当の銀座の鋪道であんな大声であんな媚態を演じるものがあったら狂女としか思われ
銀座を追われた靴磨き両人に腹を減らさせて浜町公園のベンチへ導く。
エピローグとして最初と同じ銀座鋪道の夜景が現われる。ここで若い靴磨きが変な街路詩人の詩を口ずさみ